口コミを増やすことで売上を伸ばそうと考えるとき、大事なのは再現可能性を高めること。期待する結果を意図的・計画的に獲得するために理解すべき、売上に至るプロセスや構造を、トライバルメディアハウスの池田紀行氏が解説する。
口コミの影響力は「信憑性や愛情・熱量」×「インプレッション数(ネットワーク規模)」の掛け算で示されます(図1)。
口コミの影響力=「口コミの質」×「見られる量」
信憑性とは、「誰が言うか」「誰の口コミか」です。例えば、「真冬のキャンプはこのテント一択です!」という口コミがあったとき、その口コミ主がキャンプ初心者であれば信憑性は低いでしょう。一方、キャンプ歴30年、毎年厳冬期に10泊以上のキャンプをしている熟練者の口コミであれば信用できます。また、愛情や熱量も強く、高い方が影響力は大きいでしょう。
インプレッション数とは、表示数、つまりどのくらい見られているかです。どんなに信憑性が高く、愛情や熱量が高い口コミでも、50や100のインプレッションではたいした影響力は期待できません。@cosmeや価格.com、食べログやAmazonの口コミ(レビュー)の影響力が大きいのは、口コミを書いた個人(投稿主)の影響力は小さくても、それぞれのサイトに「特定の商品やお店について知りたい人」がやってきて、大勢がその口コミを見るからです。このように、口コミの影響力は、「口コミの質」×「見られる量」で決まるのです。
タイムライン型と検索型の違い
口コミは、「タイムライン(フロー)型」と、「検索(ストック)型」の2つに大別されます。この2つは、口コミの動機や効力がまったく違うため、混同すると的はずれな施策を講じることになります。それぞれのメカニズムについてしっかり理解しておきましょう(図2)。
タイムライン(フロー)型とは、TwitterやTikTok、FacebookやInstagramなどのホーム画面で更新コンテンツが流れていく場所です。情報の流れるスピードが速く、ストック性が低い特徴を持ちます。一方の検索(ストック)型は、SNSのように更新された情報をリアルタイムで消費するというより、必要なときに検索をして引き出される特性を持ちます。Instagramは、タイムラインやストーリーズを見ているときはフロー型ですが、タグ検索をしているときは...