せっかく開発した新製品もあっという間に陳腐化してしまったり、競合に追撃されて競争力を失ったりしてしまいます。連載第2回では、そうした新製品開発・導入戦略における「PDCA」について、考察を加えてみます。
無形のサービス製品も含め、新製品開発にまったく興味のない企業は、存在しないでしょう。社会環境が変化し、買い手の期待も変わっていくからです。競合企業が投入した新製品がヒットしたら、何かしらの対抗策を考えないわけにもいかないはずです。一方で、大量(一説では毎年4万点と言われる)に投入される新製品の多くは、定着することなく数年以内に(時には1年ももたずに)姿を消してしまいます。売り場のスペースも、顧客の需要も有限ですから、オーバーフローしてしまうのは当然です。
新商品に対する過剰な目標設定
しかし、どの新製品も、その開発にあたっては開発コストが発生しています。製造業の場合であれば、生産ラインの新設・増設などの初期投資もそれなりの金額になっているかもしれません。当然、開発の決裁にあたっては、製品が一定期間、売れ続けてその初期費用を回収する計画(P:プラン)が前提となっていたはずです。販売量を予測するときに、マーケティング費用を獲得するために、実需の予想より少し高めの販売予測を立てる、というタイプの計画(P)も実際に存在していました。
マス型商品の場合、一定レベル以上の規模で広告を投下しないと、店頭化も、知名も獲得できないと考えられています。製品価格に対する広告費の比率には一定の基準があることが多いので、まとまった広告費の投下を会社に認めてもらうためには、多少強気の販売目標が必要になります。それで広告がうまく機能し(D:実行)、新製品が予測通りにヒットしてくれれば問題ないのですが、無理に“背伸び”して作った目標をクリアすることは、そんなに簡単ではありません。
そうすると、評価(C:チェック)の段階で「目標を下回った、つまり『失敗』だった」とラベリングされてしまいます。この目標と結果の乖離は、商品力の問題というより、「目標が過剰に高すぎた」というエラーが原因です。