販売促進の専門メディア

           

その常識を疑おう

人気のSKUから順に残していく? 消費者の異質性に応えよう。

高橋孝之(ホジョセン)

常識と考えられていることについて、実はそうではないと提言していく本連載。今回のテーマは「SKU(Stock keeping Unit)」。SKUを絞り込む際、評価が高かったものだけを残すと陥る罠について著者が解説する。

    常識10 売上・利益や消費者からの評価が高いSKUから順に残す

    ▷評価が高いものの組み合わせが最適とは限らない

    ▷消費者の異質性に応える

    ▷SKUを増やすときも考え方は同じ

当たり前に受け入れられている常識を、一歩下がって疑うことで本質を炙り出す連載「その常識を疑おう」、第10回目のテーマは「SKUの増減」です。SKUを削減することによって管理コストを節約することができたり、マーケティングに係る人員を主要ブランドに集中させることができたり、原材料の一括注文によりコスト削減に成功したり、と生産性の観点で大きなメリットが見込まれ、取り組む企業が増えてきた印象があります。

例えば、惣菜などの食品事業を営むフジッコは、SKU数を40%削減したそうです(出典:フジッコIR「フジッコ経営改革の現状と今後についてのお知らせ」2022年1月31日)。一方で、SKUを増やすことによって市場にニュースを提供したり、小売店での視認性を高めたり、とプロモーションの観点でSKUを増やす活動もしばしば見られます。

このようにSKUの増減は経営的にもマーケティング的にも広く用いられている手法ですが、その際問題となるのは、どの商品を廃番とすべきか、どの商品を残すべきか、どんな商品を新投入すべきか、です。もちろん最適解はSKU増減の目的に依存するので一概には言えないのですが、このとき、嵌りがちな落とし穴があります。それは、「売上・利益や消費者からの評価が高かったSKUから順に残す」こと。一見、非常にもっともらしい選び方のようにも聞こえます。まずは、この選び方に付随する問題を考えてみましょう。

高評価同士が最適とは限らない

問題を解りやすくするために、極端な例で考えてみます。5種類のフレーバー(つまり、5つのSKU)を持つある食品があったとします。小売店に置いてもらえるSKUの数が2つだったため、5つの中から2つを選ばないといけません。話をシンプルにするために、10人(①〜⑩)にアンケートを実施したとしましょう。結果、それぞれのSKUに対する評価は、表1のようになりました。

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

その常識を疑おう の記事一覧

人気のSKUから順に残していく? 消費者の異質性に応えよう。(この記事です)
ABテストで疲弊していない? ユーザー理解から施策を始めよう
ブランディングと販促活動は両立しない?
カスタマージャーニーの良さを活かすための考え方とは
差別化すれば売れるのか?意味のない「違い」の罠
成功事例を無批判に自社に当てはめてはいけない
販促会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する