新規出店や既存店の運営において、販促を行っていく商圏のリサーチは欠かせない。NTTデータが昨年リリースした人流予測サービス「BizXaaS MaP®(ビズエクサースマップ)人流分析」は、これまでは実現できなかった建物単位や道路、歩道単位などのピンポイントでの推計、リアルタイム分析が可能となり、より精確な情報で販促活動をサポートする。
GIS活用のトレンド
NTTデータが提供するGIS(地理情報システム)サービス「BizXaaS MaP®」は、建物情報、顧客情報、人流情報などを電子地図上で視覚化するクラウドソリューションだ。「地図情報の上にマーケティング情報や施設情報などの様々なコンテンツを重ねて活用されてきましたが、これらは基本的には過去データに基づく静的なコンテンツでした。それが近年ではセンサーやデータ処理の技術の向上により、リアルタイムに近い動的コンテンツの活用が進んできています」(高木氏)。
出店精度の向上・機会損失、廃棄を削減
こうした動きの中で、同サービスの新たなコンテンツとして昨年リリースされたのが、「BizXaaS MaP®人流分析」だ。「新たな人流分析の特徴は ①ピンポイントで正確な拡大推計 ②リアルタイム分析 ③人流予測が挙げられます」と上田氏(図)。
これまでは500mメッシュや町丁目単位でのマクロな人口分析、特定エリアでの相対的な変化の情報に留まっていたが、最新の分析では、道路単位での人流・車流、1つ1つの建物単位での訪問者数がピンポイントで分かる高精度なミクロ分析が可能となった。上田氏は「これまで漠然としていた新規出店エリアの選定を建物、道路単位まで落とし込み、出店精度の向上が図れます」と語る。
さらに、モバイル空間統計®やGPSプローブデータを同社のリアルタイム基盤と連携し、人流情報を生成。約1時間前の現実世界の状況をデータとして把握できる。このリアルタイム人流データとAI分析モデルの連携によって、数時間後の未来予測も可能だ。「突発的な人流の変化があった場合でも、数時間後の人流を把握できるので、状況に応じた発注により欠品や売れ残りを防ぐことができます。単純に売上や利益に貢献できるだけでなく、フードロスなどの社会課題解決まで実現することが期待できます」(高木氏)。
実際に大手小売企業との実証実験では、各店舗の販売実績(POSデータ)と店舗周辺の人流データをもとに、購買者数を予測するAI分析モデルを構築。リアルタイム人流データを取り入れた近未来予測を行うことで、従来の予測と比較して、機会損失防止と廃棄削減の両面で大きな効果が出ることが確認されている。
最適なシステムの構築でDX改革をサポート
「人流データの活用に興味はあっても、導入のハードルが高いと感じるお客さまは多いです」と上田氏。そこで同社では、システムの最適化を支援するサービスも提供している。「例えば、コンビニのおにぎりなど元々売れ方に周期性(=季節性)があるものは、現状でもある程度の売れ行き予測は可能です。ここに、人流分析が加わると、近くにオフィスが新設されて集客のチャンスが増えた場合など、周辺環境の細かな変化にも対応した在庫数の管理が可能になります」と高木氏。
このように、既存の店舗・施設の実績データを組み合わせて、対象データの中のどの特徴量の分析が効果的かなど、AIを組み込んだ業務データ予測までをサポートしていくという。同社の強みとして、AIや位置情報分析のスペシャリストによる提供体制があるといい、データサイエンティストによるAI予測など一気通貫で導入支援が可能になっている。
今後の展望について高木氏は「サービス自体の精度向上はもちろん、システムの導入に際して、分析から開発、運用に至るまでお客さまのDX改革を一緒に実現するパートナーとして伴走していきます」と語った。
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