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旬を演出する8つの注目ワード

「推し」 新たなコミュニケーションのインフラへ

山本泰士氏、野田絵美氏

このコロナ禍で「推し活」が非オタク層まで一気に拡大した。2021年12月にメディア環境研究所が行った「推し」についての研究から「推し」がなぜここまで話題になり、どのようなことが起こっているのかを博報堂DYメディアパートナーズの山本 泰士氏と野田 絵美氏が解説する。

まさにいま、『販促会議』で特集されるほど話題になっている「推し」。2021年には「推し活」が、流行語大賞にノミネートされるほど注目されたこの現象。Googleトレンドによると、2020年、コロナ禍に入り始めてから注目度が一気に上昇して、高止まりを続けている。

では、この注目されている「推し」。従来のイメージだといわゆる「オタク」と言われるような人が参加しているイメージをもっている方も多いのではないだろうか?

しかし、今回私達が推しを持つ人達にインタビューして見えてきたのは少し異なる光景だった。20〜40代の女性、60代の男性まで、皆さん明るくイキイキと、推しを通してコミュニケーションを楽しんでいる。いわばこれまでなら「リア充」とでも呼ばれていたような人々が「推し活」をしていたのだ。

いまや、推しを持つ人は従来考えられがちだったオタク層だけではない。リアルな世界を充実させ、コミュニケーションを楽しんできた、非オタク層までが参加する、新たな局面を迎えている。

6割の人が「推し」を持つ時代

この拡大する「推し」についての実態を把握するため、2021年11月、我々は全国の15〜69歳の男女にインターネット調査を行った。そこで「あなたには好きで『推し』ている事や人、物はありますか」と聞いたところ、「ある」と答えた方が60.8%。実に6割も推しを持つまでに広がっている。年代別で見てみると、若年層ほど推しを持っている人の割合が増加。10代、20代は4人に3人が推しを持っていることがわかる。

10-20代では4人の内3人に「推し」がある

メディア生活と推しに関する行動意識調査2021

拡がるコミュニケーションのために「推し」活用

ではこの「推し」の中で一体どんなことが行われているのだろうか?その代表例としてご紹介したいのがAさん(東京都にお住まいの大学生)へのインタビューで見えてきた「推し」の実態だ。

Aさん曰く

●コロナ禍で授業がオンライン化。それに伴い、テレビやSNSに触れる時間が増えて、「Nizi Project」や「鬼滅の刃」、そして最近では「僕のヒーローアカデミア」にはまっている。

●オンライン化したのは授業だけでなく、友人との付き合いも。それに伴ってTwitterで友達に、今の推しを常に発信している。

という。その中で印象的だったのが「推し」の情報発信が友人とのコミュニケーションを後押ししてくれているという以下の言葉だった。

自分がオンラインで発信していると、Twitter上じゃなくても、LINEとかで情報がくるようになる。たとえば鬼滅展みたいなのがポップアップしていたら、ここに鬼滅いたよ、みたいな情報がきたり、Nizi Projectの広告が出ていたらここにNiziUいるよ、みたいな写真が送られてきたり、面白い二次創作のリンクが送られてきたり。BTSコラボのガムがめっちゃ売り切れたりしているので、それを友達が求めていそうだったら、写真を撮って送る、みたいなこともしている。

コロナ禍の影響で、友達との会話のオンライン化は一気に加速。しかしLINEなどでいつでも話しかけることはできるが、何か目的や用事がないと、会話の糸口が見つけにくくなる中、Aさんは推しを使ってうまくコミュニケーションをしていた。推しについて発信すると、周りの友達はそれを会話のきっかけにして、ここに広告があったよと、推しを届けてくれる。さらに、別の推しアニメについての推しを発信すると、展覧会情報を知らせてくれるなど会話のきっかけも増える。推しなので、突然LINEをしても、迷惑になることなく喜ばれる。

このように、推しがあると、オンラインベースでの会話のきっかけが生まれ、やりとりがうまくできる。まさに、オンラインベースにシフトする中で、コミュニケーションのための推し活用が広がっていたのだ。

推しがあると会話のきっかけがうまれ、やりとりできる

なぜコミュニケーションツールとして活用するのか?

では、なぜさまざまにあるコミュニケーションツールの中で推しを活用するのか。先述したインターネット調査からその背景にある意識を分析してみた。コロナ禍で減少したものとして「友人や知人と直接会って話すことが減った」というスコアは51%、「友人と何気なく雑談することが減った」というスコアは37.8%と顕著に高く上がった。

一方コロナ禍の生活の変化として、顕著に増えたと答えたスコアが高かったのは「世の中にイライラしていたり怒っている人が増えた(50.1%)」「コロナ禍になってSNS上での炎上やトゲトゲしたやりとりを目にすることが増えた(39.7%)」というマイナス要素を含む意識だ。

このコロナ化で自粛警察などと呼ばれる言葉もよく聞かれるようになり、世の中でもSNS上でもイライラしている人、トゲトゲしたやりとりを...

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