
新庄剛志新監督の言動は、明るさだけでなく、意外にも選手目線でやさしい。この2年間のコロナ疲れもあり、そんな“ビッグボス”にお茶の間は心酔。今、世間はやさしさを求めている。
イラスト/高田真弓
あの男が日本のプロ野球界に帰ってきた。新庄剛志さんだ。
2006年の現役引退から実に16年ぶり。今期から古巣・北海道日本ハムファイターズで監督を務めている。
昨年10月下旬、就任内定の報道が流れた際、多くの人々は「近年、パッとしない日ハムの人気回復のカンフル剤だろう」くらいにしか見ていなかった。ところが、翌月の就任会見の発言を聞いて、僕らの見方は一変する。
「優勝なんか一切目指しません」─それが、3年連続5位に沈んだチームの立て直しを球団から託された新監督の意気込みだった。一瞬、おや?と思ったが、理由を聞いて納得する。
「高い目標を持ち過ぎるとうまくいかなくなる。何げない試合に勝った、勝った、勝った。それで9月あたりで優勝争いをしていたら『さあ、優勝目指そう』となる」─なるほど。掛け声ばかりが空回りして、選手たちがついていかない新指導者にありがちなパターンを自ら封じてみせたのだ。
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