北海道を拠点にITマーケティングを活用した事業をプロデュースする、北の達人コーポレーション。同社の成長を支えた「徹底的な利益体質のマーケティング」手法について、木下社長が語る。
成長の背景にある経営方針
今回は「ROI(投資利益率)を高めるデジタルマーケティング戦略」をテーマに、マーケティングや広告の無駄を省くことで徹底的な利益体質のマーケティングをする方法についてご紹介いたします。
本題に入る前に自己紹介と会社の紹介をさせていただきます。私は北の達人コーポレーション代表取締役社長兼現役Webマーケターで、約20年Webマーケティングに従事しております。北の達人コーポレーションは私が北海道に可能性を感じ移住、2002年に創業した会社で、美容や健康の悩みを解決する「北の快適工房」というブランド名で、スキンケア商品、健康食品の開発、Web販売を行っています。
年商は2020年が100億円、2021年は92億円。経常利益は2020年29億円、2021年20億円。東証一部と札幌証券取引所に上場しました。なぜここまで業績を上げられたのか。それは経営方針である「売上最小化、利益最大化」を実現したからです。
売上最小化、利益最大化の法則
まず利益を最大化するには、CPO(Cost Per Order)とLTV(Life Time Value)、この2つの数字を把握している必要があります。CPOは1人もしくは1件当たりの獲得にかかった販促コストです。LTVは1人もしくは1件の顧客から一定の期間を通じて得られる売上で実際は利益です。利益は「売上ー販促費」で計算します。
次に利益を最大化する方法を考えます。例えばLTVが1年間で1万円だった場合が表1です。
販促費が仮に500万円の場合と、600万円、700万円の場合があるとします。顧客獲得件数はそれぞれ1000件、1150件、1230件になり、販促費を増やせば増やすほど、獲得件数は増える傾向にあります。売上に関しては1件当たりの客単価LTVを1万円と設定します。1000万円、1150万円、1230万円で、顧客獲得件数が多ければ、売上は増えます。
ところが利益ベースでみた場合、実は売上の最大化は利益の最大化になっていないことがわかります。売上としては700万円の販促費をかけ、1230万円を売り上げた時に最大化されましたが、利益に関しては実は600万円のときが一番大きい。つまり売上最大化と利益最大化は違うのです。
CPOを見ると販促費が500万円のときは1000件の獲得で、1件当たりコスト5000円。600万円のときは5217円、700万円のときは5691円と、CPOが上がっていっています。つまり...