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ファミリーマートの新PB 話題の比較広告の裏側を聞く

ファミリーマート

SNS、テレビの情報番組などで話題となったファミリーマートの新プライベートブランド発表。そのパッケージや広告のコピーを考えたこやま淳子氏(The Breakthrough Company GO/こやま淳子事務所)に、その背景や狙いについて話を聞いた。

ファミリーマートは、2021年9月に創立40周年を迎えた。様々なきっかけで店舗に足を運んでもらうために、新しいチャレンジ「40のいいこと!?」に取り組んでいる。それに関連した取り組みとして、新たなプライベートブランド(PB)「ファミマル」を立ち上げ、10月19日から全国の約16,600店舗で順次展開した。

このファミマルのネーミングを手掛けたのが、コピーライターのこやま淳子氏だ。立ち上げにおいて展開した広告のコピーもこやま氏が担当した。今回のプロモーション施策における狙いについて話を聞いた。

新ブランドの立ち上げ

今回の新PBのネーミングやパッケージ、プロモーションに関する案件をThe Breakthrough Company GOが担当することになり、こやま氏はコピーライターとして参加した。既存のPBは複数あり、「品質やおいしさが伝わっていないのではないか」という課題があり、情報発信力を高めるべく、新ブランドは1つのネーミングにまとめたという。

「ファミマルは、『おいしい◎うれしい◎あんしん◎』の『マル』と『ファミマ』を組み合わせて開発しました。長い名前だと店頭で読めないので短くし、かつ親しみがある日本語のマルにしました。パッケージは『5秒でわかるパッケージ』を目標にし、キャッチコピーは1行以内でおさめるなどのルールづくりを設定。コンビニの店頭でもわかりやすいようにしています。商品のキャッチコピーは、商品のことを一番理解している商品担当者からヒアリングして、一緒に考えています」とこやま氏。

この新PBの発売に先立ち、10月18日付の読売新聞朝刊に「負けていたのは、イメージでした。」と大書した全15段広告が出稿された。関東在住の100人に、「“業界1位のコンビニ企業”と、ファミリーマートのハンバーグのどちらがおいしいか」を尋ねた結果を掲載している。イメージでは“業界1位”のほうがおいしいとした人が多かったが、食べたあとはファミマのほうがおいしい、とした人が同じぐらい多い結果となった。

東京・渋谷駅には「そろそろ、No.1を入れ替えよう。」と書かれた交通広告を掲出。19日からは全国5都市で駅張りを実施し、訴求を強めた。

この一連のプロモーションは、コンビニ業界1位のセブン-イレブンを彷彿とさせる比較広告で、SNSやテレビの情報番組などで話題になった。目的としては、「おいしさ」を伝えることと、「業界1位に挑むチャレンジャーとしての決意表明」だとこやま氏は話す。

「最初の打ち合わせから、業界1位に対して挑戦していくようなことをやりたいと話があがっていました。もともとファミリーマートのCMOである足立光さんが『ファミマはイメージでは負けているが、ブラインドテストをすると勝つ』と日常的に話されていました。ではそれをそのまま広告にしたらいいんじゃないかとなったのが今回の施策です。GO代表でプロジェクトのECDを務めた三浦が、ペプシとコカ・コーラや、バーガーキングとマクドナルドで行われてきたような対立構造で盛り上げていくやりかたにしようと提案したのです」。

10月18日付の読売新聞朝刊に全15段広告を出稿。

渋谷ハチコーボードに出稿した交通広告。

新宿で掲出した駅張り広告。大阪・福岡・名古屋・札幌などでも展開。

各広告の目的、役割

新聞は読んでもらうものであり、Twitterでも拡散されるため、広告のボディコピーをしっかりと考えたと、こやま氏は話す。

「『負けていたのは、イメージでした。』といったコピーは当初考えたものから変わっていないですが、ボディコピーは他社を貶める感じにならないようにファミマさん側と話して何十回も練りなおしましたね。渋谷ハチコーボードの交通広告では、『そろそろ、No.1を入れ替えよう。』といった、道行く人がなんだろうと見てしまう、少し乱暴ともいえるくらいの強い言葉にしました」。

これらの広告は、“チャレンジするほうのコンビニ”としての話題づくりを狙った。コンビニの競争は生活者にとっていいことであり、応援してほしいという意味合いを含めている。またこの広告で、ファミマはコンビニ業界におけるチャレンジャーとしてお客さまにとっての1位を目指すことを明確に宣言したのだ。

また山手線ジャックの車内広告やテレビCMでは、商品をメインにした「おいしさ」を伝えるものにしている。

「ファミリーマートはおいしいというイメージを、『面白く、楽しく』伝えたいと考えました。そのため各商品のコピーもユニークなものにしました」。

10月19日付の読売新聞朝刊に出稿した全30段広告。社内資料のように詳細を書いている。

山手線の1編成をジャックする広告貸し切り車両を運行。商品のおいしさをユニークに訴求している。

分析したい人の気持ちを突く表現

コンビニのPB商品のリニューアルは、過去の事例からも注目されると想定していたとこやま氏。

「何もしなくても話題にされるので、“話題にしたい人”の気持ちをとらえるような表現にしました。その業界については素人だけど、『カンブリア宮殿』などで取り上げられた企業の裏側は語りたくなりますよね。そういう人たちの気持ちをざわざわさせたかったんです。なので新聞30段広告の表現としても、社内資料に近い内容のものを出しました。結果、思っていた以上に多くの人がファミマの戦略を分析していましたね」。

これは花火を打ち上げた段階であり、これからが、よりファミマの印象を強めていくフェーズだという。「売上も好調だと聞いています。日本では外食、中食が手抜きといったイメージがありますので、安心してコンビニのご飯が食べられるように、そういった意識を変えていければと思います」とこやま氏は話した。

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