電機と消費財化学のメーカーが異業種によるコラボプロジェクトを開始した。きっかけから実施にいたるまでの話を、パナソニック、花王の担当者に聞いた。

パナソニック
コミュニケーション部
木村知世(きむら・ともよ)氏
入社以来宣伝部に所属し、様々な商品の広告コミュニケーションを担当。2013年よりデジタルマーケティングにも携わり、現在は洗濯機などの白物家電や横断キャンペーンなど、広告コミュニケーションの戦略プランニングとデジタル戦略の両方を兼任。

花王
ファブリックケア事業部
アタック マーケティング担当
榊原淳太(さかきばら・じゅんた)氏
2015年に花王へ入社後、ビオレブランドのマーケティング担当、販売部門を経験し、2019年からアタックブランドのマーケティングに従事。2020年に新商品「アタック3X」の立ち上げを担当した後、2021年より「アタックZERO」のマーケティングを担当。担当ブランドの商品開発、販売戦略、広告戦略、生産管理などに携わる。
ニューノーマルな洗濯
──コラボ施策について詳細をお願いします。
木村(パナソニック):コロナ禍で各ご家庭の洗濯事情が一変しました。除菌・抗菌・ウイルスを気にするあまり、これまで家族で兼用していたタオルを各個人用に用意したり、2〜3日の頻度で洗濯していた部屋着などを毎日洗ったり、洗濯回数や洗濯量が増えています。
また家族の在宅時間が増え、家族みんなが洗濯を手伝う機会も増えています。そのため、洗剤などの入れ忘れや、衣類の洗濯絵表示がわからず水洗いしてはいけない衣類を洗ってしまったり、洗濯機の操作方法がわからないなどの失敗やお困りごとも増えてきています。
洗濯は自分のため、家族のため、出会う誰かのためでもあったりします。洗濯に関するお役立ち情報をお届けし、こういう時期だからこそ、日々追われる家事のひとつである洗濯において、楽しみや悦びを感じてほしいという思いから、パナソニックと花王アタックが『「#センタク」プロジェクト』を、2021年10月19日「洗濯を楽しむ日」から開始しました。
本プロジェクトでは、CMや洗濯の疑問を解消する「#センタク」マニュアルムービー、1019人にコロナ禍の洗濯に対する調査をした「#1019人のセンタクのホンネ」、Twitterなどのデジタル広告・OOH屋外広告を実施しています。
榊原(花王):このプロジェクトは、「“清潔なお洗濯”を通して、日々の安心の土台を整えることで、消費者の日々の暮らし・気持ちを少しでも前向きにしたい」という2社の思いからスタートしました。商品機能を全面に出した広告ではなく、ブランドメッセージ、パーパスを訴求する広告をより多くの生活者に届けるために、1社よりも2社で発信した方がより効果的だと考え、今回のコラボ施策に至りました。
木村:事業部からも洗濯事情が変わっていると聞いていて、洗濯を楽しいものにしたいという思いを持っていました。なので商品をメイン訴求する広告ではなく気持ちを動かすコミュニケーションをしかけたいなと考え、両社ともそれが共通認識としてありました。このようなメッセージ性が高いコミュニケーションは、複数社でやることによってシナジーが出ると思っています。
──コラボすることにいたった経緯をお願いします。
榊原:きっかけはコロナ禍前にさかのぼるのですが、「洗濯」に関するワークショップを3日間開催したことです。両社から総勢40名程が参加して、洗濯について様々な角度から話し合いをしました。
そのワークショップからマーケティング担当同士でのディスカッションがスタートし、両社の目的、実現したいことが合致したため、今回のコラボレーションが実現しました。リモートでの打ち合わせを何十回と重ねてきましたね。最初は5回くらいブレストを行い、アイデアを出し合いました。そこで、両社が「清潔」という...