企業同士がコラボをするには、何かきっかけが必要になる。ソーシャルメディア上はオープンに開いているため、そういった偶発的なきっかけが起こりやすい。本稿ではSNS活用に詳しいトライバルメディアハウスの久保雄亮氏が解説していく。
企業コラボはソーシャルメディア上でも盛んに行われています。事前に担当者同士の打ち合わせを経て計画的に実施されるコラボはもちろんですが、中には、インタラクティブなコミュニケーションが起きるプラットフォームならではの「偶発的なコラボ」が生まれることもあります。例えば、生活者の投稿や、企業アカウント同士のやりとりをきっかけとするコラボです。
しかしきっかけは偶発的に起きたことだったとしても、それを起こそうとしているか、起きたことに気づけるようにしているかが肝要です。
コラボ施策は相互送客による新規層獲得を目的にすることが多いと思いますが、ソーシャルメディア上でのコラボにおいては、エンゲージメント数(RTやいいねなど、投稿に対するアクション)や話題量の創出も狙いながら企画できるとさらによいでしょう(図1)。

図1 ソーシャルメディアにおけるコラボの効果
というのは、ソーシャルメディアマーケティングの世界では一般的に「投稿へのエンゲージメント数やブランドに関するポジティブな話題量の増加が、売上やブランド好意度を向上させる」と言われているからです。当社でも統計学的に日々検証していますが、おおむねこのロジックが有意に成立していることが確認できています(商材などにより影響度は上下します)。
そして「偶発的なコラボ」は、ソーシャルメディア上で生活者からの反応や発話を促すのに有効なわけですが、機会を待っているだけではただの運任せになってしまいます。機会をつくるためにアクションすることが重要です。
動けばコラボのきっかけが生まれる
企業公式アカウントが増えつつあった10年ほど前、タニタさん(@TANITAofficial)は「他社のTwitterアカウントと何かやりたい、お話ししたいと思って、呼びかけをした」そうで、それを機にシャープさん(@SHARP_JP)との交流やコラボが始まったそうです。近年ではカップヌードルさん(@cupnoodle_jp)が「携帯会社の皆さまコラボどうですか」と投げかけたところ、Galaxy Mobile Japanさん(@GalaxyMobile JP)が応じ、コラボ投稿に発展しています(図2)。