他社とコラボ企画を行う際には、社内だけで行う企画よりも多くの人が関わる。それらをまとめて成功に導くには進め方を知ることが大切だ。プロジェクトデザイナーの柏木誠氏がプロジェクトの考え方を解説する。
コラボレーションは、多様な立場の人・企業が共同でプロジェクトを行い、1+1=2以上の相乗効果を目指して行う。しかしその進行は極めて難しい。「文化や共通言語も異なるため暗黙知が通用しない」「ルールをゼロから構築していく必要がある」「そもそも最初は寄せ集めのメンバー」「個人個人の価値観や考え方は通常バラバラ」と、とにかく不確定要素が多い。
コラボを成功させるためには、「大目的」をつくりプロジェクトの地図を描こう。大目的は行くべき場所。プロジェクトの地図はそこまでの道筋を描いたもの。2つがあれば、ゴールを見失わずに進むことができる。もし地図がないと、知らない土地を暗闇の中で歩くようなもの。しかも行き先がわからなかったら路頭に迷うだろう。
1 プロジェクトの解像度を上げる 大目的づくりから始める
プロジェクトの大目的は何か?
なぜ、このプロジェクトをやるのか?このプロジェクトの意義は何か?コラボレーションで何を目指すのか?目指す世界は何か?売上やブランド認知向上などのゴールではなく大目的は何か?の対話から始めよう。
大目的はそれぞれの組織や個人の思いを1つにまとめ、プロジェクトメンバーの一体感を創出するためのもの。コラボプロジェクトで目指す究極のゴールは何か?多少滑稽でもいい。まず大目的についての対話から始めよう。それは経営者、プロジェクトマネージャーだけでなく、可能なかぎりスタッフまで巻き込みたい。関係者が対話に参加できる機会をつくるのは大事なことだ。
多くのプロジェクトで発生しているのが「手段」の議論中心で目的を忘れてしまっている。または考えてもいない。「コラボレーションプロジェクトの大目的は何か?」、この存在が「このコラボレーションのプロジェクトにとって正しいことは何か」の拠り所となる。プロジェクトには必ずリスクや困難がつきもの、それを避けるためにも活用できる。ここからプロジェクトを始めよう。
1-1
プロジェクトのゴールすなわち「成功の定義」と主要成功要因を特定する
大目的はそれぞれの組織や個人の思いを1つにまとめ、プロジェクトメンバーの一体感を創出するためのもの。しかし、これだけだと「絵にかいた餅」でしかない。
実際のプロジェクトにするために、プロジェクトのゴール、すなわち「成功の定義」を特定する。
●「プロジェクトで達成したいこと」を簡潔に表現したもの
●「何がどうなったら成功なのか」を明確に定義したもの
次にプロジェクトがゴールにたどり着くための主要成功要因(CSF:Critical Success Factor)を特定する。
●全ての要素を洗い出して詰め込んではいけない
●主要なものに絞り込む、経験上3つ程度がよい
1-2
プロジェクトのゴールと主要成功要因はセットで把握しよう
主要成功要因(CSF)を設定することで、プロジェクトがゴールに向かって正しく活動できているか?または正しく活動をできていないか?を判断する意思決定の基準として使うことができる。
例1 コラボレーション
【プロジェクトのゴール】
A社とB社のコラボ商品を1年以内に開発、3年後までに新しい市場を開拓し以下のKPIを達成する。
●新商品の売上○○円
●ブランド認知5%向上
【主要成功要因(CSF)】
●ステークホルダーの積極的な関与(月1回の全体会議への参加)