私財を投じてリニューアル 社会的なテーマの作品を多く扱う 地域店舗ともコラボレーション
横浜シネマリンはJR関内駅から徒歩約5分、伊勢佐木長者町交差点そば、古いビル地下にある小さな映画館。
同館は1954年に「横浜花月映画劇場」として開館し、変遷を経て1986年「横浜シネマリン」に改名した。2014年、デジタル化の波に乗れず閉館に迫られていたのを知り、現オーナーの八幡温子さんが運営を引き継いだ。彼女はそれまで地元横浜の映画好きな仲間で集う「横浜キネマ倶楽部」で事務局長を長く務めたが、映画館の経営経験は全くない。しかし、意を決して前オーナーから会社を買い取った。
館内外にリノベーションを施したが築60年超の古いビルは老朽化が激しかった。工事中に地下水が出たり古い空調機を動かしたら中からカビが散り出てしまったことも。仕方なく父親から引き継いだ不動産業の蓄えも投じた。結果、スクリーンを大きくし、165席あった席数はゆったりめの102席に。前後で椅子の位置をずらして後方の席でも画面がよく見えるようにした。
リニューアル後は八幡さんの方針でドキュメンタリー作品や社会的なテーマを持つ作品を特に多く上映する。1日の内に独自の特集や日本映画、洋画、ドラマなど様々な分野の映画が並ぶ編成だ。例えば、渥美清特集では彼がアフリカに長期ロケに赴いた『ブワナ・トシの歌』がかかる一方、地元横浜中華街の変遷を追うドキュメンタリー『華のスミカ』も...
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