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マーケティングの「禁じ手」十手

新規顧客獲得にかかるコストを優先する〜「新規獲得」のわな~

國田圭作(嘉悦大学)

今回は、「新規顧客獲得」と「既存顧客維持」という2つの戦略のバランスについて考えます。なぜ、新規獲得に力を入れすぎることが“禁じ手”になるのでしょうか。そこに潜む「わな」を解き明かしていきましょう。

新規顧客獲得には既存顧客維持に比べて5倍のコストがかかるといわれます。しかし、既存顧客も少しずつ目減りしていくので、事業成長のためには、新規顧客を定期的に獲得していく必要があります。さて、ここからが問題です。もし皆さんの手持ちのマーケティング予算を、どちらか片方に配分しなくてはならないとしたら、どちらに配分したいでしょうか。

「新規顧客も既存顧客もどちらも大事だから、決められない」「4対1くらいでそれぞれに配分したい」⋯⋯そんな声が聞こえそうです。しかし、限られた予算はひとつの目的に集中しないと、望むような結果は得られません。そうなると、「今回は予算を少し多めにとって新規獲得に集中しよう」「次回は少なめの予算で既存顧客維持の施策を打とう」というように、別々のプランで運用されるのが一般的ではないでしょうか。しかし、その運用に実は大きな問題が潜んでいるのです。

「新規獲得」施策と、「既存維持」施策が、もし別々に企画され、あるいは違う時期に実施される(担当者が違ったり、業務委託先が違ったりすることもある)と、「新規獲得」施策はだいたい、既存顧客の心情をほとんど配慮しない「新規最適」、つまり部分最適なプランになっていきます。

例えば、こんな事例がありました。洗剤は普通、大容量の詰め替え用が、小容量のボトルよりお得(グラム単価が安い)です。でもよく計算したら、ボトルの方が安かったので筆者はそっちを買ってしまいました。いつもそのブランドを買っている筆者のような顧客に対して、詰め替え用でなく小ボトルを買わせてしまうのはあまりよい施策とはいえません。

教科書では、新規顧客獲得には、手が出しやすい小サイズを「お試しサイズ」として安い値付けをするトライアルプロモーションが...

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