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いま、選ばれる商品・デザイン

新しい顧客層への接点を創り出す カルビーのデザインプロジェクト

長澤君枝氏(カルビー)

カルビーが社内で立ち上げた「伝わるデザインプロジェクト」。従来のパッケージにはない考え方で、新しい取り組みを行っている。その背景について話を聞いた。

カルビー
マーケティング本部
PR・宣伝担当
長澤君枝(ながさわ・きみえ)氏

大学卒業後、大手消費財メーカーのデザインセクションで勤務。2012年カルビーに入社し現職。2019年に社内で発足した「伝わるデザインプロジェクト」に参画し、日々パッケージデザインの向上を図っている。

若年層に手に取ってもらう

──「伝わるデザインプロジェクト」について教えてください。

2019年に、マーケティング本部にて発足したプロジェクトです。カルビー商品のパッケージデザインが店頭でお客さまとよりよいコミュニケーションを取れるよう、デザイン制作のサポートやデザイン視点での商品開発を行っています。マーケティング本部長、PR・宣伝担当部長、インハウスデザイナー、商品企画など社員6名がメンバーとなります。

このプロジェクトを立ち上げた背景には、パッケージにおける課題がありました。お菓子に限ったことではないですが、メーカー側が伝えたいことをパッケージに並べているので、売場では各社の商品が並びごちゃごちゃしているのです。さらに企業側の担当者が変わるたびにデザインが変わったり、同じシリーズなのに統一感がなかったり⋯⋯。こういったパッケージにおける課題をデザインの力で解決していこうと考えました。

プロジェクト内ではまず、パッケージデザインのポリシーを決定。一つの商品の個性を絞って伝えようということで、「ONE Message,ONE Product」としました。

また、カルビーらしさとは何かを話し合い、マーケティング本部80人ほどの社員とワークショップも行いました。みんな自社に対して同じようなイメージを持っていて、「フレンドリー」「愛嬌がある」などの単語が出てきました。そこで、カルビーらしさは「Be Friendly Be Charming」と制定して、それを意識していこうと本部内で共有しています。

──具体的にはどのようなデザインをされたのですか。

今年の6月に、人気アーティスト長場雄さんがパッケージをデザインした新商品「ポテトチップスクリエイターズパッケージうすしお味」と「ピザポテトクリエイターズパッケージ」を、首都圏や北陸地方など14都県のセブン-イレブンで発売しました。

普段あまりスナック菓子を購入していない若年層の男女に、デザインの力で少しでも商品に興味を持ってもらおうと企画したものです。中身は一緒ですが、外を変えることで新しいコミュニケーションができないかと考えました。「パケ買い」といった見た目のかわいさから衝動で買ってもらう、ということを狙いました。いまの若年層のスナック離れを感じていましたので、若い人からの支持があり、SNSでのフォロワーも多い長場雄さんに依頼をすることにしたのです。

このパッケージではアートワークを最優先し、通常のパッケージとは違い、アーティストの世界観を大切にしました。長場さんの過去作品でも多い白背景をベースに、人々がポテトチップスを楽しんでいる風景を描いてくださいとご依頼しました。新しいお客さまとの接点を見つけるために、これまでのカルビーの商品とは一線を画すデザインを目指したのです。

依頼時には通常のポテトチップスうすしお味の背景のオレンジやピザポテトの黒といったカラー案もあったのですが、長場さんらしさが出る白に決定しました。今までにない取り組みだったので、社内からは不安視する声も...

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