パッケージデザインの役割とは 人を魅了し、動かす力の引き出し方
商品の魅力を伝えるパッケージデザインとは何なのか。パッケージ単体だけではなく、店頭やコミュニケーションと連携することで大きな成果を生み出すことができる。本稿ではその考え方の整理を行っていく。
商品・サービスにおいて、「買う前」と「買った後」では評価される部分が異なる。“見た目”を考えるうえで重要なこの考え方を、独自のメソッドとしてまとめている著者が解説する。
お客さまに満足を与える商品が重要なのは言うまでもありません。それは「良い商品」と言えます。良い商品とは、「買った後買って良かった」と評され、お客さまに満足を与えるものです。
しかし「買う前に欲しい」と思われなければ、買った後の満足も生じません。つまり、売れる商品にするためには、「買う前に欲しいと思わせる力」(コンセプト力)と、「買った後買って良かったと思わせる力」(パフォーマンス力)の両方が必要になるのです(図1)。
商品のコンセプト(C)とパフォーマンス(P)の両者を共に高めることが重要です。この考え方を「C/Pバランス理論」と呼びます。私の師、梅澤伸嘉(マーケティングコンセプトハウス創業者)が提唱した理論で、ご存じの方も多いかもしれません。
商品のコンセプト力とパフォーマンス力のバランスによって、発売後の売上パターンが異なります。
図2のタテ軸が商品コンセプトの力、ヨコ軸が商品パフォーマンスの力です。さらに各象限内のタテ軸が「売上」、ヨコ軸が「時間の経過」になります。この図のことを「CP診断チャート」と言います。
この4つの象限を解説します。
このポジションの商品であれば、発売当初から売れ始め、順調に売上が高まっていくことを示しています。
「買う前に欲しい」と思わせることができても、「買って良かった」と思わせる力が弱いためにリピートが続かず、悪い口コミが流れ、早くに売れ行きは低下します。期待外れという評価になります。
いくら販促や広告に力を入れたり、パッケージを魅力的にしても、一時的な売上に留まります。商品パフォーマンスの改良が必要になります。
これは論外なので説明を省きます。
商品コンセプト力が弱いため、発売当初はさほど売れません。買ってもらえれば、また使ったり食べたりしてもらえれば満足されるのに、「買う前に欲しいと思わせる力」が弱いために、売上が上がらず、間もなく市場から姿を消すことになります。しかし、市場に長く存在していれば次第に良い口コミが流れ、徐々に売上が上がっていくパターンです。
言うまでもなく商品コンセプト力を高める必要があります。
きちんとした調査を行えば、このCP診断チャートを活用することで、発売前に売上パターンの予測ができます。CとPのバランスが良好でなければ、図2の第一象限に位置付けられるように改良を目指します。
商品コンセプトにはとてもシンプルな公式があります。図3を見てください。Cはコンセプト...