2020年4月に旗揚げしたノーミーツは、フルリモート劇団として、次々に前例のない新しい企画を打ち出してきた。その気になる企画の裏側について話を聞いた。
企画担当がいるわけではない
──普段、企画をどのようにつくっているのでしょうか?
広屋:通常、劇団と聞くと企画を専門とする団員やチームがいるのを想像されるかもしれませんが、ノーミーツでは特に企画担当がいるわけではありません。劇団員全員が各々にアイデアを出し合って、企画をつくっていきます。
現在ノーミーツは、専業の社員や副業・兼業の人、フリーランスのクリエイターなど様々なバックグラウンドを持つ合計26人の劇団員がいます。その全員が企画者です。企画を考える際には、各々がおもしろそうだと思ったアイデアを出し合って、おもしろいと思ったアイデアが中にあれば、みんながそれに反応し、企画の骨子をつくっていくイメージです。
小野寺:僕は広告会社と兼業しているのですが、広告会社の企画の仕方とノーミーツの企画の仕方はかなり違うと思っています。例えば、アイデア出しの打ち合わせをする際には、みんな手ぶらで集まり、フラットな状態から始まります。しかし、広告会社の場合、アイデア出しの打ち合わせは、それぞれが考えてきたアイデアを持ち寄って、それを発表する場になるので、そこから完全に新しいアイデアが生まれることは少ないです。しかし、ノーミーツでのアイデア出しは、その場でアイデアを出し合って、議論しながら全員でゴールを目指します。
広屋:ノーミーツは、自分の「好き」を起点に動く人が多い。普段のコミュニケーションにはSlackを使っているのですが、毎日「こういうのおもしろいよね」「こういうのつくりたいよね」など共有し合っています。なので、常にメンバー同士が興味関心や考え方を把握しているという土壌があるからこそ、アイデア出しの会議がフラットな状態で始まっても、新しいアイデアが生まれるのだと思います。
小野寺:あと、企画から実現までのスピードが速いのも広告の現場とは大きく違います。一度...