ECシフトが加速して1年 改めて整理する「ECと実店舗」の違い
コロナによって顧客とのリアルな接点を持つことが難しくなった2020年。この1年は、ECシフトが急加速し、多くのECが立ち上がった。ここでは、見直すべき点を見る前に改めてECと実店舗の違いを整理する。
EC『総点検』
UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)の改善は、直接的な売上につながらないとして、後回しにされがちな要素だ。しかし、消費者同士がSNSなどで深くつながる今、ECの体験はシェアされ、リピーターや新規顧客の獲得に大きな影響を与える。ここでは、河野貴伸氏がUI/UXにおいて見直すべきポイントについて解説する。
さて、はじめにみなさんは、UI/UX改善というとどんなことを想像されますか?メニューのデザインや全体のレイアウトを調整し、離脱率を下げ、サイトスピードを改善し、CVR(コンバーション率)をあげるなどでしょうか?
もちろんそれらも重要な要素なのですが、それだけだとどうしても今サイトに訪問してくれているお客さまに対して、「買いやすく」なってもらうことにだけフォーカスしてしまい、新規集客をもっとがんばらない限り、売上向上には結果的には寄与しないのでは⋯⋯といった懸念が出てきます。
新規のお客さまに来てもらわないと、売上が上がらない⋯⋯であれば、広告をもっと出したほうがいいのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょう。結果、どうしても定量的なUI/UX改善、というと後回しにされがちです。
しかし、実はここに落とし穴があります。UI/UXはなぜ改善する必要があるのか?目的は3つあります。
①せっかくきてくれたお客さまに対して、最後まで気持ちよく買い物をしてもらう(せっかく買いたいと思ってもらったお客さまの気持ちを裏切らない)
=CVR向上
②気持ちのよい体験を実現することで、商品だけなくブランドのスタンスに共感してもらい、熱狂的なファンになってもらう
=LTV向上
③商品だけでなく、購入体験そのものに感動してもらい、シェアしてもらう
=新規のお客さまへの集客施策
実は、UI/UXの改善は新規のお客さまの集客においてもとても重要なのです。なぜなら、昨今のインターネットの世界では、ソーシャル上のつながりのおかげで、お客さま1人ひとりがインフルエンサーとも言える状態になりつつあるからです。ソーシャルが存在しなかった時代は、お客さまから店舗に対してのフィードバックはアンケートくらいしかありませんでした。
また、クチコミは友人同士くらいでのやり取りがほとんどで、多くの人に知ってもらうためには「テレビ」や「雑誌」で紹介してもらう必要がありました。しかし昨今では多くの人々が様々なソーシャルでつながり、日々やり取りをしています。そしてその影響力は時間とともに指数関数的に増加しています。
例えば、フォロワーが1000人のTwitterアカウントの方が、あるECの購入体験でがっかりした、とツイートした場合、受け取り側の差やアルゴリズムによる到達率の差はあれど1000人にネガティブな感想がリーチされてしまうわけです。
逆に、良い体験を発言してくれれば、1000人に良い印象がリーチされます。これは20年前には考えられない世界なのです。
Twitterで例えましたが、Facebook、Instagram、LINE、Tiktok⋯⋯様々なソーシャルで人々はつながっています。そしてそのつながりは年々広がり、深まっていきます。そして人々は「非広告かつ信頼できる情報」を求めているので...