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EC『総点検』

集客は基本の見直しが、大きな改善を呼ぶ 確認すべき8つのポイント

中島 郁(ネクトラス)

ECは人々の生活導線上にある実店舗と違い、サイトを立ち上げただけでは、人が訪れることはない。そのため、ECを成功させるためには、集客は重要な要素となる。ここでは、大規模EC責任者を歴任してきた中島郁氏が、集客において見直すべきポイントについて解説する。

いまだに、かなりの経営トップが、ECは始めれば売れる、サイトをつくり、SNSをやり、ウェブ広告をやれば集客ができると思っています。少し経験した方には、そんなことはないと、お分かりかと思います。

始めたときのECサイトは、「ド田舎の原っぱの真ん中にある路面店」のようなもの。もともと集客のある場所を選び出店する実店舗と違って、誰からも知られていない、人通りのない場所に人々に来てもらわなければなりません。SNSも期待ほど集客できず、ウェブ広告は費用をかければ集客できるが採算はあうのか、そもそもその集客は本当に顧客となりえるのかと悩みは尽きないはず(そこまで分かっていれば、随分ましなほうです)。

また、実店舗ビジネスでは考慮していたこと、真剣に考えていたことが、ECとなった途端に忘れ去られていることもとても多いようです。ECは、世間の話題のような耳障りのいい話だけではなく、魔法の杖でもありません。細かい施策を見直すよりも、しっかりと基本から見直すほうが大きな改善を実現できます。

SNS運用、インフルエンサー、LINE、Instagram広告、リスティング広告、いくらでも詳細に突っ込めますが、まずは、これから述べるようなベタな基本ができていないと結果が出にくいということです(図1)

図1 店舗の集客とECサイトの集客

    ポイント1
    コンセプト、メッセージは固まっているか。

    「ECがうまくいっていない」「思うほど売上が伸びない」というトップの方のお話をよく聞きます。そんな方に限って、ECのコンセプトは?と伺うと、既存店と競業できるようにしたいなど、トンチンカンなことを言います。消費者は、バカではありません。いい加減な検討で始められたサービス、ビジネスなどは「見透かされて」しまいます。「本気でないのなら、やめたほうがいいですよ」と、あえてお伝えすることもあります。

    コンセプトがしっかりしていないということは、顧客にお伝え(ご提供)すべき、価値、メッセージが明確でないということ。であれば、どんなに頑張っても、自社の良さは伝わりませんし、結果、集客もうまくいきません、売上も期待できません。

    なので、ECの相談を受けると、まず、「コンセプトをしっかり検討して固めてください、スタッフ全員にそれを知らしめ、徹底してください」とお伝えします。コンセプトだけではなく、実店舗などとの関係性、社内での位置付けなども含めてです(今回、コンセプトワークについては詳細には説明しませんが、一番大事だということです)。

    そして、実店舗と売上の取り合いになるようなコンセプト、位置づけは避けていただきたいものです。顧客からすれば、実店舗も、ECも同じなのですから。

    ポイント2
    ECを既存顧客への新タッチポイントとして考えているか。

    少しコンセプト寄りの話ですが、ECサイトも顧客接点(タッチポイント)の1つと考えてください。ECサイトは、よく新チャネルとして考えられがちですが、まず新規の顧客向けではなく、ECサイトで完結するチャネルとしても、考えないことが大事です。

    筆者は、ECサイトは開設してしばらくは、新規顧客への新チャネルでも、新タッチポイントでもなく、店舗などの「既存客への新しいタッチポイント」だと考えています。まず、全く新しい人を集客するのではなく、既存客にECサイトを知ってもらい、訪問してもらう習慣をつけてもらうこと、そして、購入自体は実店舗で行われてもいいという状態をつくることをすすめています。その過程で、ECサイトへの集客の力がついてきたら、新客もとれるようになってくるはずです(図2)

    図2 ECは既存顧客への新しいタッチポイントから

    ポイント3
    既存媒体、リソースを活用しているか。タッチポイントは密度を高めているか。

    そして、そのポイント2の工程を早くするのが、店舗を含むリソースの徹底的な活用です。誰にも知られていないECの知名度に下駄をはかせるのです。これは、費用とタッチポイント/オムニチャネルの2つの点でメリットがあります。

    実店舗も、看板も、DMも、チラシも、交通広告も、ECサイトも、メルマガも、SNSもタッチポイントです。顧客とのタッチポイントが多くなればなるほど、メッセージ(提供価値)は伝わります。そして、利用するタッチポイントは密度(数、地域、頻度など)を高めていく必要があります。

    期間をあけたり、広い地域で行ったりして効果を上げるのは初期の段階では難易度が高い。例えば、「実店舗網があるので関東では知名度が高いので、関西市場はECで売上をとりたい」といった考えです。店舗があるエリアに、ECサイトへの集客のメルマガ、SNS、ウェブ広告などのオンラインアプローチと、チラシなど既存媒体といった多重的な施策を実施するということです(図3)

    図3 タッチポイントは密度を高める

    簡単にいうと、店舗でECサイトの告知をしたり、チラシなどにECサイトについて便乗掲載したりすることなどです。既存で行っている広告なので、新たに大きな費用をかけることなく、ほとんどの場合、スタッフのある程度の労力で実施でき、費用面では非常に効率的です。結果として、既存の顧客がECサイトを見ることになり、今度は既存のオフラインの広告をしなくても、店舗にもサイトにも集客ができるようになるのです。

    この辺の社内交渉、啓もうが面倒で、安易にオンライン広告に頼るのはもったいないことです。また、デジタル化自体を焦って、顧客にオンラインへのシフトを仕掛ける前に、オフライン広告を減らしてしまう会社があるのも残念でなりません。

    さらに踏み込み、社員の名刺、封筒、備品、名札、シャッター、看板などすべてのものにECサイトのURLや検索窓、QRコードなどを掲載することをおすすめしています。アメリカでは会社のロゴ自体を...

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