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コストを抑えて、売上拡大 店舗がなくても千客万来!

米小売で急速に進む買い物環境とフルフィルメントの融合に学べ

鈴木敏仁

コロナ下、米小売でも大きな変化が起こっている。そこから日本が得るべきヒントとは何か。アメリカ在住のジャーナリストが解説する。

まずパンデミック開始以来アメリカ小売業界で何が起こってきたかを大きな視点で整理してみよう。

1つめは営業規制だ。ビジネスはエッセンシャルと非エッセンシャルに分けられて、後者は営業不可となった。規制していない地方自治体もあり濃淡があるが、カリフォルニアやNYといった大きな州が規制に走ったので小売業界への影響は大きかった。

2つめは旅行や外食といった分野への支出がモノへとシフトしたことである。例えば食品では外食から内食へと一気にシフトしたので食品リテーラーは未曾有の増収増益を記録している。ステイホームでホーム関連商品や園芸分野がよく売れたり、デニムの代わりにラウンジウェアが売れたりと、買い物嗜好にも大きな変化が起きた。

3つめは規制によって失業者が急増しているものの、株や住宅価格が高騰して資産バブルが起き、中〜高所得層は逆に潤っていることである。昨年末の歳末商戦は対前年比で8.3%増と大きく伸びたのだが、2と3がその背景にある。消費が冷え込むと思いきや少なくともモノはよく売れたのである。

そして4つめが急速なECシフトだ。昨年1年間のEC市場の伸び率は45.2%で、全小売市場に占める比率は25.7%に達したという試算がある。10年はかかったであろうレベルに早回しで到達してしまった。

この中で小売業界にとって最も大きな変化はやはり4だろう。

例えばECシフト後に急速に増えたのが、ネット注文の商品を店舗で車まで店員が運ぶカーブサイドピックアップだ。パンデミック以前に導入していたアパレル専門店チェーンはわずか1.6%だったのだが6月には34.1%まで急増、この間に対応できたか否かは売上に大きく響いた。それまでデジタル化を進めていた企業はすぐに対応できたのだが、後回ししていた企業は対応が遅れ売上に大きく響いたのである。

このスピードに乗れたか乗れなかったかの差は、それまで準備していなかったかどうかにあり、デジタル変革というやるべきことをやっていたかいなかったかなのである。

受注から配送のプロセス

ネットで注文を受け、センターで処理し、宅配する。ECはこれがすべてではないということをアメリカの小売企業は証明しつつある。ネット注文を店舗で引き渡すストアピックアップである。また店舗から発送するという取り組みもはじまっている。店舗というすでに持っている資産こそが専業ECリテーラーに対する差別化要因だからである。

アマゾンは2019年にプライム会員の特典として無料宅配を2日以内から翌日に短縮すると発表している。アメリカでは在庫のロケーション次第では大陸横断を要し...

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