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「他がやらぬことをやる」 日産のDNAとブランド戦略

日産自動車

ブランドが消費者に選ばれるためにすべきことは。日産のブランド戦略を率いる星野朝子副社長がブランド刷新や店舗の取り組みを紹介した。

日産自動車 執行役副社長 星野朝子 氏

戦後間もなく電気自動車を発売

日産自動車のブランド戦略を紹介するにあたり、まずは日産自動車という会社についてご紹介します。日産の創業者は、鮎川義介という技術者です。1933年に創業し、35年に日本初となる量産型の自動車工場を設立しました。当時から技術者たちに、「他がやらないことをやろう」と鼓舞してきた人物でした。これが日産のDNAとして今に受け継がれています。

47年には当時の技術で最高性能の電気自動車「たま」を発売しました。終戦後に焼け野原となった日本で、移動手段を提供したい、ガソリンがなくても電気ならある、ということだったと思います。最高速度50キロで航続距離は100キロとのこと、今から見ても驚くべきことです。ほかにも82年には世界初のミニバン、85年には世界初の4WS(四輪操舵)を搭載したクルマを世に出しました。「フェアレディZ」も、ドイツのスポーツカーに魅せられた技術者が、それを誰でも手に入れられるものにしたい、という情熱で開発したものです。

2010年には100%電気自動車(EV)「リーフ」を先駆けて量産化しました。また16年には「e-POWER」という、電気自動車の走りを実現した新たな仕組みを出しました。これを搭載した「ノート」は2018年度に最も売れた登録車となり、日産では1968年度の「ブルーバード」以来、50年ぶりの登録車ナンバーワンを獲得し、社内は大変盛り上がりました。

19年には、高速道路で手を離して運転できる「プロパイロット2.0」と呼ぶ機能を搭載したクルマを発売しました。東名高速なら最高で120キロで走れます。ハンドルから手を離すのは最初は怖いものですが、徐々に慣れてきます。お客さまからは、「手を離して乗っていると、自分の脳がクルマをコントロールしているような気分になる」というコメントをいただいたのが、大変興味深かったですね。

このように、日産には「他がやらぬことをやる」ということに情熱を傾けているエンジニアたちがいます。それが日産自動車のDNAをつくってきました。

日産を選ぶ理由が必要

私が担当しているマーケティングおよびセールス領域でも、他がやらないことをやりたいという情熱を持って取り組んできました。創業間もない1936年、「ダットサン・デモンストレーター」という女性のデモンストレーターがクルマを運転して街を回って、主力車種「ダットサン」をアピールするイベントを展開しました。まだ女性ドライバーが少ない時代でした。36〜37年には他社に先駆けて、映画や大衆歌劇の劇中にクルマを出していく、いわゆるプロダクトプレースメントを仕掛けました。

銀座の中心地に設けた「日産ギャラリー」もそのひとつです。65年には史上最大級の新型車命名キャンペーンを行いました。なんと848.3万通もの応募があり、選考が非常に大変だったそうです。米国でも、「Datsun Saves」という車種横断のキャンペーンを行うなど、パイオニアとして様々なことに取り組んできました。

一方で、皆さまの思い描く日産ブランドはいかがでしょうか。日産に対して、必ずしもそのような革新的なイメージをお持ちではないかもしれません。私も今でこそ日産のDNAを日々感じていますが、入社する前はそんなブランドだとは思っていませんでした。

私がマーケティングを担当し始めたのは5年前のことです。当時から、日産ブランドには「顔」がないといわれることがありました。スカイラインやマーチなど個別の車種は知られていますが、それが日産車であるということはあまり知られていないという課題がありました。

現在では新車を購入される8割程度のお客さまは、ウェブサイトなどでどのクルマを買うかをほぼ決めてから販売店に来られます。そのウェブ上で、「日産」「NISSAN」で検索してくれないと、購入を検討する候補に日産車が挙がってきにくくなるのです。そのような課題意識を受け、日産を選ぶ理由を明確につくる必要があると思い、2015年に立ち上げたのが「やっちゃえNISSAN」キャンペーンでした。

先にご紹介した通り、リーフやノートe-Power、プロパイロットなどの新しい革新的な技術が...

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