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実店舗・EC 衝動買いを生み出す秘訣

ワクワクする未来を描き「つい買ってしまう」を生み出すセールスコピー

谷本理恵子(グローアップマーケティング代表取締役)

店頭、ECなど、売場での文章の役割は重要だ。今のタイミングで把握しておくべき、購買の後押しをするセールスコピーについて、筆者が解説する。

社会情勢が変わっても、人間の感情は、そう変わるものではありません。コロナであろうと買い物は「楽しいイベント」のひとつであり、オンラインシフトが起ころうと「つい買ってしまう」心理は変わらないものです。むしろ、自粛要請などで外に出る機会が減っている今、抑圧された「買いたい」気持ちから、かえって衝動買いは起こりやすくなっているともいえます。

多くの場合、衝動買いは「漠然と抱いてきた違和感や欠乏感」が、一瞬で満たされる「魔法」に出会った瞬間に起こります。つまり、単に「自分に関係がありそうだ」と振り向いてもらうだけではなく、「これさえあれば、うまくいく」という確信に導き、実際の行動につなげるための工夫が必要です。では、どんな点に注意すればいいのでしょうか。

気軽に「試す」体験を演出する

「手に取って試す」ことが難しくなりつつある今、リアルな接客で何を提供してきたのか、つまり、お客さまはどんな「情報」があれば購買決定ができるのかを再検討する必要があります。なぜなら、実際に触れられない状況であればあるほど、これまで体験的に得られていた「情報」を別の形で提供しなければ、購入の決定ができないからです。

例えば、パンツを購入するなら試着時に、丈感やフィット感、しゃがんだ時の背中の空き具合や微妙な色、素材感などを総合的に見ていることでしょう。「似合うかどうか」という感覚的な判断だけでなく、たくさんの要素を無意識的に確認しているのです。だからこそ、そのような情報が提供されないままでは、勘と勢いで「よく分からないけれど、たぶんこうだろう」と想像して決断するしかなくなります。当然「最悪、失敗してもいい」と思える程度のものしか買うことができませんし、迷った末に買うのをあきらめてしまうかもしれません。

けれど、単に「詳細」を説明すればいいというわけではありません。求められているのは、あくまで「疑似的に体験できる情報」だからです。例えば、飲食店でメニューを見て注文する際には、目の前で実物を見られなくても大きな障害にはなりませんが、メニューの文章には「シズル感」のある表現が大事だといわれているのとまったく同じです。まるで実際に試したような感覚を、一瞬で抱かせる文章が求められているのです。

とはいえ、難しく考える必要はありません。お客さまのリアルな声の中から、魅力的な表現を見つけ出せばいいのです。多くの女性は「ユーザーズボイス」を、性能の「社会的証明」としてではなく、自分自身の...

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