本連載では、小売が実際にデータやデジタル技術を主体的に活用するための手法を紹介していく。今回は、データを活用した打ち手について触れる。
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響でDX(デジタルトランスフォーメーション)について注目が集まる1年であった(図1)。これにより、DXを促進すべく業務のデジタル化やデータの集め方について議論が進んでいるものと思われる。企業においてはそのKGIたる収益拡大のためにデータ活用が求められるが、解決すべき課題の見つけ方や解決のための打ち手が分からず悩む現場は少なくない。
今回は、読者のみなさんが企業内でお持ちのデータをどのように分析すれば良いのかを提案したい。課題や打ち手を見つけるためのポイントとなる考え方は「構造化」だ。
DXが進み取得データが増えるとたくさんのことが行えるが、闇雲に考えても得られるものは少ない。そのため、物事の全体像を見極め、構成要素を整理する「構造化」が重要になる。
例えば、小売においては達成すべき目標として売上があり、それを構成する要素として「顧客数」「顧客単価(バスケットサイズ)」「購買頻度」の3つに分解できる(図2)。まずはこの3要素が前年と比べるとプラスなのかマイナスなのかを見ていき、売上に最も大きな影響を与える「課題」となっている要素を探っていく。
売上へ影響を与えている大きな要素が分かればさらに要素を分解していき「打ち手」を探っていくことになるが、この時「打ち手」を考えていく手段として「WHO」「WHAT」「HOW」の捉え方をすると考えを整理しやすくなる。横軸に先の3要素「顧客数」「顧客単価」「購買頻度」があり、縦軸に「WHO」「WHAT」「HOW」があるイメージだ(図3)。
例えば、「課題」として「購買頻度」の減少があると分かったら、次に「誰(WHO)」の影響が大きいのかを見ていく。性別・年代別・エリア別など様々な切り口で見る必要が…