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インサイト発想に基づくプレミアム開発が成功の鍵

中嶋 勝・岡本尚樹(博報堂プロダクツ)

購買の後押しとして多方面で活用されるインセンティブプロモーション。成功の鍵を握るのが、魅力的な景品「プレミアム」の開発だ。アイテムの選定から製造工程に至る一連のポイントを解説する。

インセンティブプロモーションとは、企業の商品やサービスに景品や特典などを用意して購買意欲を高めるプロモーション手法である。生活者の購買行動を後押しするインセンティブには、様々な景品=プレミアムが設定される。

皆さんも「ビールについているシールを集めると、必ずビールサーバーがもらえる」という告知を目にしたことはないだろうか。購入した特典として、お得なプレゼントを用意するという、まさにこれがインセンティブ=プレミアムプロモーションである。生活者の「欲しい」「やってみたい」と思わせるインサイトに、ダイレクトに働きかけて、購買のモチベーションを高める、販売促進に特化した効果的な手法のひとつである。

これらのプロモーションは、販売促進に加えて、商品の特徴理解、ブランディング、新たなターゲット層へのリーチなどの効果も期待できるため現在も多くの企業で実施されている。

一方、インセンティブプロモーション手法の設計を誤ると、一過性の販売促進に留まり、商品購入のリピートにつながらず、結果として、ただただ費用対効果が悪いプロモーションで終わってしまう可能性がある。本稿では様々な手法と合わせ、その効果的な活用のポイントを解説していきたい。

目的別3つのプレミアム手法

プレミアムを活用した代表的なプロモーション手法は、大きく以下の3つに分類される。

3つの手法をプロモーションの目的に応じて最適な選択をすることで、より効果的なプロモーションを行うことが可能となる。

①商品を購入すれば、必ずプレミアム商品がもらえる「総付プレミアム(ベタ付け)」
②商品を購入すると、抽選でもらえる「クローズド懸賞プレミアム」
③商品を購入しなくても、抽選でもらえる「オープン懸賞プレミアム」

①②の手法については、それぞれプレミアムとして提供できるものの価格が景品表示法で定められている(図1)

図1 景品表示法が定める「景品類」の限度額

上記を踏まえ、目的別3つのプレミアム手法と展開例を以下にまとめた。

これらはあくまで一例であり、プロモーション課題によって、より細かい検討が必要になってくるが、プレミアムキャンペーン設計の基本的な考え方として参考にしてほしい。

商品を購入すれば、必ずプレミアム商品がもらえる「総付プレミアム(ベタ付け)」
総付プレミアムは、実務上「ベタ付け」とも呼ばれ、もれなく景品を提供することができ、主に「トライアル購買喚起」「継続購買喚起」「来店喚起」を目的として使用される。

「新商品飲料のペットボトルにフィギュアがもれなくついてくる」

「商品についているシールを20枚集めると、お皿がもらえる」

「来店者先着10万名様にオリジナルグッズ配布中!」

という風に、生活者が確実にメリットを享受でき、キャンペーンへの参加人数が比較的多いことが特徴である。景品表示法の観点から、市場価格の上限が制限されているため、魅力的な景品を提供する工夫が必要といえる。

商品を購入すると、抽選でもらえる「クローズド懸賞プレミアム」

クローズド懸賞プレミアムは、商品やサービスの購入を条件として、購入者だけに応募資格を与える懸賞のことである。こちらも主に、「トライアル購買喚起」「継続購買喚起」を目的として使用される。

「新商品飲料についている、QRコードを読み込むと、その場の抽選で人気ブランドバッグが当たる!」

「商品についているシールを5枚集めて応募すると、抽選で豪華家電が当たる!」

という風に、抽選が行われるため、キャンペーンへの参加人数は絞られてしまうが、景品表示法の観点から高額なプレミアム(上限10万円)を設定できるため、生活者にとって魅力的なキャンペーンを設計しやすい特徴がある。

商品を購入しなくても、抽選でもらえる「オープン懸賞プレミアム」

オープン懸賞プレミアムは、商品やサービスの購買を条件としない懸賞であり、主に「認知拡大」、「新製品(サービス)の情報拡散」を目的として使用される。

「クイズに答えて応募すると、抽選でスーパーカーが当たる!」

といった風に、景品表示法におけるプレミアムの金額制限がないため、インパクトのあるプレミアム設定が可能となる。ここでは、いかにインパクトのあるプレミアムを設定し話題化するか、が成功の鍵となる。

インサイトの把握が成功の肝

2020年の年末に発売されたゲーム機が世の中の大きな話題となった。この背景には、商品自体の圧倒的な魅力はもちろんのこと、「使ってみたい最新の機能が満載」、「買いたいけれど、手に入らない」など、各種メディアを通じて、自然と刷り込まれる“購入マインド”が相まって、世間の評判を高めたといわれている。この生活者のマインドを醸成する仕掛けが、プレミアム設計・開発にも十分活用できる。

プレミアムキャンペーンでは、購買を促進させるために、売り手(=クライアント)と購入者(=生活者)が良好な関係をつくり、その製品やサービス・ブランドを好きになってもらうことが必要となる。プレミアムによって、“好き”になってもらうポイントをつくり出し、『人の心を動かす』ことが、プレミアムにおけるインサイトである。

■“欲しい、使ってみたいと思わせる!”生活者インサイトとは?

その製品やサービス・ブランドを利用して、「思わず何個も集めたくなる、コンプリートしたくなる」、「毎年定番だから、その時期が来るのが楽しみ」、「他社では手に入らない限定感、希少価値が刺激的」、「思わす突っ込みたくなるネーミングやデザインだから話題になる、欲しくなる」など、生活者の満足感から“心が豊か”になる、「ひんやりする、すっきり!」といったその製品そのものの特性が楽しめるため、生活者が使うことで“生活が豊か”になるなどの、生活者インサイト視点での発想が重要となる。

例えば...

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