先日、午後2時過ぎに新宿の某ステーキハウスを訪れた時の話である。扉を開けると、まだ8割ほど座席が埋まっている。ここは全てカウンター席で、昼時はいつも行列ができるが、この時間でもそれなりに混んでいるのに驚いた。これが人気店ということか。「Wを。リブとサーロインで」──この店で僕は決まって同じメニューを注文する。肉は赤身なので多く食べられるのと、Wで頼むと割引されるからである。店内を見渡すと、お客は皆、一様に無口。恐らく、ほとんど一人客だろう。
7、8分ほどして、ステーキを乗せた白皿が前に置かれる。ワイン仕立てのソースの色つやもよく、ボリュームも申し分ない。ナイフを入れると、ほのかにピンクがかった断面が露わに。ミディアムレア。一口頬張り、噛みしめる──美味い。熟成肉本来の旨味。それを追いかけるようにライスを口に運ぶ。少し硬めに炊いたごはんとステーキ肉の相性がまた格別。僕は心の中でつぶやいた。『この組み合わせを...
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