人々の生活に大きな影響を与えた新型コロナウイルスによって、コンビニの使われ方も大きく変わりつつある。業界をリードするセブン-イレブンの販売促進部総括マネジャー 福島一晃氏に次の一手を聞いた。
一貫性のある販促を目指す
──これまで携わったお仕事と現在の担当業務についてお聞かせください。
福島:入社以来一貫して営業畑で、これまで長野や山梨、東北に赴任したほか、群馬県、千葉県の責任者を務めました。現職の販売促進部は2020年3月からです。
担当業務は大きく2つに分かれます。「プロモーション・広告企画」は皆さんのお目にかかることが多い、店頭まわりの支援です。マス広告やデジタル広告、ノベルティや値引きなどの特典をつけたプロモーションを実施しています。もうひとつは「デジタルマーケティング」で2019年に専門部隊を立ち上げました。スマホアプリの運営やプロモーション、電子マネー「nanaco」のデータ分析などを担当しています。
──現場を長く経験されてきたのですね。そこから販売促進部に移って、どんなことを考えましたか。
福島:現場にいた頃は販売促進部が考えた施策を実行していくことが仕事の中心でしたが、お店が欲しているのはもっと違う販促策ではないかと思うこともありました。昨日はおにぎり、明日は弁当⋯⋯と単発の施策を繰り返すことへの反発もありました。そんな経験から、販売促進部に来た際には一貫性のある、背骨の通った販促をしていきたいと考えていました。
客数は減り、客単価が伸びる
──コロナ禍で人々の生活は大きく変わりました。来店客の動向はどんな変化がありましたか。
福島:4月の緊急事態宣言以降、客数が落ちました。過去にないような落ち込みです。ただエリアや立地による差が大きく、首都圏の都市部を中心に客数は落ち、周辺の住宅地では客数が増えました。スーパーでは客単価が上がり、売上が伸びたとの報道がなされましたが、セブン-イレブンでも同様に都市部は客数が下がり、住宅地は上がり、行楽地は土日に落ち込む。この傾向が3月から5月まで続きました。6月以降は、この状況を受けて手を打つことによって少しずつ改善しているところです。
時間帯別に見ると、より顕著に表れています。0時〜10時、つまり朝の時間帯は売上が落ちたままです。在宅勤務の広がりや、時差出勤による影響かと思われます。一方で昼間の10時〜16時が好調で、夜間の16時〜24時はまた落ち込んでいます。感染を警戒して、なるべく人に会いたくない。そこでお昼に近隣の店舗に行って、夜の分と朝の分もまとめて購入するような傾向が読み取れます。
これまでのコンビニの使われ方は、行く先々で目についたら寄るという行動パターンが一般的でした。当社の調査でも、1人の方が主に使うコンビニは3〜4店舗でした。ただ、今回のコロナ禍の中で、月に1店舗しか行かないという方が増えています。より近いお店で、よりまとめ買いをする傾向にあります。我々にとっては、選ばれるお店にならないと生き残れないということ。買われる商品も変わっています。もっとも伸びた商品が冷凍食品。ほかサラダ、惣菜、お酒などが伸びています。よりスーパーに近い使われ方をしています。
「コロナ前」には戻らない
──興味深いです。こうした傾向を受けて、どんな販促を行いましたか。
福島:先に挙げた冷凍食品やサラダ、惣菜などはよく売れていますが、セブン-イレブンで買えると思っていない方も多いので、積極的にお知らせしています。テレビCMでサラダを訴求したり、nanacoポイントをつけたりもしています。今までは最もパイの大きい商品群である弁当やおにぎりなどを前面に出していましたが、一方でそれらは苦戦しています。アプリによる特典の付与も活用して、需要のある商品をお勧めするようにしています。
──一連のコロナ禍での気づきや今後の課題をお聞かせください。
福島:緊急事態宣言から半年以上経って思うことは、こうした傾向が「ニューノーマル」として当たり前になっていき、元には...