1990年代からのFC化後、全国的に愛されているコメダ珈琲店(コメダ)は、2017年にロイヤルティの高い顧客を集めたコミュニティを設立した。ファンの積極参加を促し、自走する仕組みを構築している。
コメダ珈琲店(コメダ)は1968年に愛知県名古屋市で開店以来、「お客様の日常に溶け込むこと」にこだわり営業を続けている。2020年3月〜5月期決算は、カフェチェーンの赤字転落が相次ぐ中コメダホールディングスは唯一、黒字を確保。7月の売上は前年比93.1%まで回復した。
その理由について、コーポレート コミュニケーション室 室長の清水大樹氏は、「郊外立地であること」「時間を問わず集客ができること」「地域密着型の喫茶店であること」の3点を挙げる。
毎日通える店を目指して
コメダ珈琲店発祥の地である愛知県はカフェ文化の「聖地」ともいわれるほど、喫茶店の激戦区。そのため、創業者の加藤太郎氏は、目先のお客さまではなく、リピーターになってくれる「ファン」づくりを最重要課題に置いたという。
それは50年以上経った今でも変わらず、くつろげる空間の設計や商品開発にもこだわっている。ソファーの座り心地の良さや木目調の内装もそのひとつ。いつでも満足感を感じられる食べ物メニューのボリューム感も特徴で、いつも同じ味のコーヒーを楽しめるという安心感もある。老若男女誰しもが気兼ねなく利用できる場所なのだ。
その証拠に、顧客の平均年齢は約46歳。日本の平均年齢とほぼ一緒である。朝7時にオープンすると、新聞を読みながらモーニングを楽しむシニア層が多く来店。朝9時ごろからは、ママ友どうしなどとカフェ利用する主婦層が増える。お昼過ぎにはサラリーマンがランチに訪れ、夕方には学生もやってくる。週末になるとファミリーでの利用客も多い。まさに全世代がターゲットであり、常連客の年齢層も幅広い。
ロイヤル顧客をコミュニティ化
同社は、こうした常連客の中でも特にロイヤリティの高い顧客に対するサービスとして、2017年にファンコミュニティ「コメダ部」を設立。2020年3月31日には...