デザインとケアを行うトータルビューティーサロンのukaはネイルオイルなどのオリジナル商品を販売するストア事業を拡大。会員プログラムでそれぞれの顧客を回遊させ、再来店を促進している。
ネイルオイルで認知拡大
──2009年に向原(現・ウカ)に取締役副社長として入社されました。ブランド再構築の過程で取り組んできたことを教えてください。
ukaの前身である美容室「エクセル」は、妻である季穂(ウカ代表・トップネイリスト)の祖父が創業した理容室「理容むこうはら」が始まりです。その小さなお店が、今ではヘアケアだけでなくネイル、ヘッドスパ、アイラッシュなどのサービスを提供するトータルビューティーカンパニーへと成長しました。
私が取締役に就任した当時、まず行ったのがリブランディングでした。目玉はブランド名の変更。「エクセル」という名前はネット検索で表計算ソフト「Excel」に負けてしまうという課題があったので、2009年10月に「uka」(=羽化)に変更しました。
蝶たちが花から花へと受粉の手伝いをするように、世の中に美を広める存在になっていけたら、という願いを込めています。この名前やロゴは、前職の博報堂の後輩たちが「卒業記念に」と担当してくれました。
ビジョンは「うれしいことが、世界でいちばん多いお店」。このような最上級表現は広告的にはNGですが、ukaでは“可能性が無限大に広がるように”と掲げました。
ターゲットは、エクセル時代から抱えてきたメインの顧客層である20〜40代の女性を中心に再設定。トータルビューティーサロンがゆえに、ヘアケアしながらネイルケアをするなど、同時に複数施術を受けたいというニーズが高いことを背景に、「世の中の、忙しくてめんどくさがりでよくばりな女性(大人)たち」としました。
また、オリジナル商品の開発・販売も強化しました。中でも人気商品となったのがネイルオイル「uka nail oil」。サロンに来店いただけていないお客さも、商品を通じてブランドを知っていただける機会となりました。
サロンのリピート率は85%
──美容サロンは新規顧客のリピート率が平均30%と低く、課題になっています。ukaでは、再来店を促すために、どのような工夫をしていますか。
ukaのサロンのリピート率は約85%です。古典的ですが、一番効果的なのはご来店時に次回の来店予約をしていただくこと。ただ、同じメニューの予約だけでなく、例えば、ヘアカットでご来店いただいたお客さまに「次回はネイルでご予約いただくと割引になります」といった案内もしています。サービスを回遊してもらいやすい工夫をすることで、リピーターにつなげているのです。
また、店舗づくりやスタッフ教育で参考にしているのが、リクルートライフスタイルの調査。この調査によると、再来店のきっかけには「インターネット予約のスムーズさ」「ブランドが持つ社会的なイメージ」「店内の清潔さ」などの16の項目があります。ただ、驚くべきことに、その中で「カット技術」の貢献度は30%ほどなのです。
我々は職人でもあるので、技術に重きを置きがちですが、お客さま視点に立つと、16の項目をトータルで満たしていることが大切なのだと気が付きました。そこで、すべての項目を強化・改善し、総合力で勝てるサロンになれるように尽力しています。
これを踏まえ、店内の居心地の良さにもこだわっています。最大の特徴は広さ。新型コロナウイルスの拡大前から、1席1席の間隔を一般的なサロンの約1.5倍とっています。複数の施術を同時に行う場合でもスタッフが密になることなく、お客さまにリラックスしていただけます。
接客では...