D2Cアクセサリーブランドの先駆けであるサードオフィスの「ROOM」は、SNSでユーザーとの接点をつくり、右肩上がりに成長を続けてきた。リピーターを創出する仕掛けのひとつに、ユーザー目線でつくるセールがある。
取引先に左右されないビジネスを
──アパレルのOEMやODMを手掛けるサードオフィス。2017年にD2Cのアクセサリーブランドである「ROOM」を立ち上げた経緯を聞かせてください。
これまで当社が柱としてきたアパレルのOEMやODMは、取引先ブランドの成長に依存しています。そのため、アパレル不況と言われる昨今は、成長し続けることが難しい環境でした。そこで、取引先の業績に左右されないビジネスをやろうと考え、「ROOM」を設立しました。
D2Cブランドであれば、企画や生産、ブランディングという、既存のビジネスで培ったノウハウを活かせます。なおかつ、スモールスタートができるだろうと考えました。
商材にアクセサリーを選んだのは、その効率の良さからです。アパレルは企画から販売までに2~3カ月の時間がかかりますが、アクセサリーは1カ月半から2カ月ほどで販売できます。追加発注であれば2週間で在庫を補充できるのです。大量の在庫を抱えずにスタートできることや、回転率が高いこと、リードタイムが短いことなど、効率的に量産して販売できることに目を付けました。
ターゲットは20~30代の女性。「ファッションコーディネートで主役になるようなアクセサリーをつくっていこう」というコンセプトのもと、海外のトレンドを取り入れた個性的なデザインから、一般受けするようなデザインまで幅広くそろえています。
販売チャネルはECサイトがメインです。7月にリニューアルを行ってUI、UXを改善し、決済手段を増やしました。今後は、スマホアプリを強化していきたいと考えています。
ECサイト
マスク販売でCTRが過去最高に
──スタートから4年ですが、売上の変化は。
設立当初は国内にアクセサリーのD2Cブランドがほぼなく、認知を高めるのが大変でしたが、右肩上がりに成長しています。最近では、新型コロナウイルスの影響で生産工場が停止し予定通りに販売できないことはありましたが、売上面での大きな打撃はありませんでした。
むしろ、4月に販売した不織布のマスクに大きな反響があり、その影響でLINE公式アカウントでの投稿と会員向けのメルマガのCTR(クリック率)が過去最高になりました。LINEが約44%、会員向けのメルマガは通常の約18倍まで伸びたのです。サーバーも一旦ダウンしてしまうほどで、結果として1箱50枚入りの商品が数時間で5500箱完売しました。
続いて6月から発売したオリジナルマスクもすぐに品切れになり、供給が追い付かないこともありました。アクセサリー販売での実績ではないですが、モノづくりのノウハウを活かして、微力ながらも社会に貢献できたことは貴重な経験になりました。
LINEの友だちは17万人
──「ROOM」のプロモーション戦略を教えてください。
当ブランドに一度でも興味を持っていただいたり...