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攻勢の販促キャンペーン

ビームス、コロナ禍に話題化したコミュニケーション施策の裏側

ビームス

コロナ禍でもYouTubeなどを通じて顧客との接点を保ち続け郊外型店舗を中心に復調しているビームス。ファンが離れない理由は、消費者心理を的確にとらえた企画にあった。

カスタマー目線のマーケティング

──新型コロナの感染拡大後、アパレル業界は厳しい状況が続いていますね。足元の状況を教えてください。

緊急事態宣言以降、国内外約170店舗が臨時休業しました。休業中の売上はもちろんECサイトのみです。5月中旬から徐々に店舗の営業を再開し、お盆前ごろから復調してきました。ECと店舗の利用率も、現在はECが2〜3割程度と、コロナ前とあまり変わっていません。

──コロナ禍でマーケティング戦略はどのように変化しましたか。

今まではプロダクトマーケティング、つまり1つひとつの商品の魅力や情報を伝えて、できるだけ多くの人に買っていただくという戦略をとってきました。これからは、1人のお客さまに対してできるだけ多くの購買機会を提供して、いろいろなアイテムを買っていただくような、カスタマー目線のマーケティングを強化していくつもりです。

ビームスでは、新生児からキッズ・ヤング・シニアまで約30レーベルを展開しています。そのため、これまでは様々な世代のお客さまのニーズに合わせた広い商品展開と、比較的フラットなコミュニケーションを行ってきました。

それがコロナ後は、会員コミュニティ「BEAMS CLUB」に登録していただいているお客さまはもちろんのこと、非会員の方に対しても、アプローチを検討しています。

具体的な施策を実施するプラットフォームについては、店舗だけでなくオンラインを一層強化しています。元々、駅ナカや大型商業施設に入る店舗では、壁面のディスプレイや店頭の入り口を使って、周辺を通行しているお客さまに向けて情報を発信してきました。コロナ禍ではその広告効果が少なくなったので、YouTube公式チャンネル「BEAMSBROADCAST」などのオンラインツールを活用したコミュニケーションを展開しています。

まず4月20日に配信をスタートしたのが、スタッフらが出演する「BEAMS AT HOME VIDEO」です。スタッフの日々の暮らしや趣味、毎日を楽しくするためのちょっとした工夫などを紹介しています。この動画の元ネタは2014年から発売している書籍『BEAMS AT HOME』(宝島社)シリーズ。2019年11月には第6弾が発売され、累計発行部数は海外版も含め30万部を超えています。これと同じことを動画でもやってみようと企画しました。

当社では、ブランドの雰囲気やスタッフのキャラクターをアピールすることで「ビームスって面白いよね」と思っていただけるようなコミュニケーションを心がけてきました。接客でも、「どんなスタッフが伝えるのか」「そのスタッフにはどんな背景があるのか」といったことが重要になると考えています。

ウェブ動画は約3万回視聴

──5月20日からは、公式YouTubeでウェブ動画シリーズ「会いたい。」を3本公開しましたね。

外出自粛期間を経て気付いた「友人たちとのかけがえのない時間」をテーマにした各1分25秒の動画です。「Dear friends.〜わたしの世界 篇」(5月20日公開)、「Dear friends.〜もっと 篇」(5月25日公開)、「Dear friends.〜好きなもの 篇」(6月1日公開)の3本を制作しました。

出演しているのはビームスのスタッフとその家族。ソーシャルディスタンスを保つために自宅のベランダにいる姿を遠方から撮影しました。女優の安藤サクラさんにナレーションをお願いし、感動的な動画になりました。

企画のきっかけは...

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