2020年3月にポーラが発売した日焼け止め「B.A ライト セレクター」。コロナ禍の影響もある中、マス広告を使わずウェブ施策のみでヒットにつなげた。商品開発の経緯やプロモーション戦略を、2人の“仕掛け人”に聞いた。

- 商品名:B.A ライト セレクター
- 価格:1万1000円(税抜)
- 累計販売数:約8万個(発売から1カ月)
- 主な販路:全国のポーラ ビューティーディレクター、コスメ&エステショップ「ポーラ ザ ビューティー」約670店舗を含む全国約4000店のポーラショップ、旗艦店「ポーラ ギンザ」、全国有名百貨店ポーラコーナー67店舗、ポーラ公式オンラインストア
DATA
太陽光を「味方」につける
──2020年3月2日に発売開始した「B.A ライト セレクター」は3日で2万個の売上を記録しました。開発経緯は。
倉田:これまで日焼け止め市場では、太陽光を「悪」とし、紫外線など様々な光から肌を守ることを一番の訴求ポイントとしてきました。ユーザーもSPF(紫外線B波を防ぐ効果指数)やPA(紫外線A波を防ぐ効果指数)などの指標で商品を選ぶ人が増えています。
しかし近年、太陽光には人間の心身を健やかに保つ効果があるなど、良い面があることも明らかになってきました。そこで、2015年ごろから研究所とディスカッションを行い、肌にとって良い効能を持つ光はないか検討することに。
研究の結果、「赤色光」という肌にとって必要な光があることが分かりました。赤色光とは肌にハリ感・弾力を与える効果があり、エステや美容機器で使用されているほか、医療分野でも注目されている光です。従来ブロックしてきた紫外線・近赤外線はカットし、肌に良い赤色光のみを吸収する日焼け止めを開発することになりました。
そこで「光は『拒む』から『選ぶ』へ。」「もう一度、太陽と生きていく。」というコンセプトを設計。太陽のもとで自分らしく生きてほしい、という思いを込めました。
──想定ターゲットは。
倉田:B.Aブランドのコアターゲットは40代前半です。実際は30代後半〜50代まで広くお使いいただいています。B.A ライト セレクターのターゲットはもう少し若く、30代のお客さまも多いですね。
商品選択に迷うユーザー像
──ターゲットのインサイトはどのように変化していますか。
倉田:日焼け止め市場には紫外線やブルーライトカット、メイク効果のあるものなどマルチな機能を付加した商品が増え、ユーザーは自分に合う商品を選べず混迷を深めています。B.A ライト セレクターは「太陽光で肌を育てる」というこれまでにない概念で大きく差別化し、商品を選びやすくしてユーザーの迷いを払拭しています。
──どのようなプロモーション戦略を考えましたか。
吉崎:この商品は非常にエポックメイキングで、太陽光を避けて暮らしてきたこれまでのライフスタイルや価値観をがらりと変えてしまう力があります。強い訴求ポイントをシンプルかつストレートに発信することを意識しました。