多様性を尊重した店舗づくりやイベントを企画するスターバックスはスタッフと手話でコミュニケーションができる「サイニングストア」をオープン。デジタルサイネージなどのツールを導入し誰でも利用しやすい店舗をつくった。


「nonowa国立店」では手話でコミュニケーションが可能で、店舗全体を通して聴覚障がい者のために視認性が意識されている。ロゴにはアメリカ手話が用いられた。
スターバックス コーヒー ジャパンは6月27日、JR国立駅(東京・国立)の駅ビル内に国内初のサイニングストア「スターバックス コーヒー nonowa国立店」をオープンした。聴覚に障がいのある従業員が中心となり、主に手話を中心に接客を行う店舗だ。デジタルツールも設置し、障がいの有無を問わず、誰もが来店しやすい店舗を目指している。
2年前から実験をスタート
同社は2018年にダイバーシティ&インクルージョンのテーマとして「NO FILTER」を掲げ、パートナー(従業員)・来店者にかかわらず、「一人ひとりが自分らしくいられる社会」の実現を目指してきた。2019年11月には、「南町田グランベリーパーク店」をオープン。認知症カフェなどを定期的に開催し、年齢にとらわれない多様な人々の居場所をつくっている。
ダイバーシティ&インクルージョン担当の林絢子氏によると、nonowa国立店の構想は、聴覚に障がいのあるインターンシップ生の声から生まれた。きっかけは約4年前。聴覚障がいを持つ従業員を交えた座談会を開いた際に「自分たちで店舗運営をやってみたい」という声が上がったという。
そのため、2018年から実験的に、聴覚に障がいのある従業員が数時間店舗を運営する「サイニングアクティビティ」を実施。7回にわたって、都心や郊外など店舗を替えて行ったところ、大きな問題は見られなかったという。「想像以上に運営がスムーズでした。来店者からの配慮もみられ、可能性を感じました」と林氏。
これを経て、国内初となる「サイニングストア」が誕生した。立地は...