食品ロスを防ぐウェブプラットフォーム「TABETE」を運営するコークッキング。中食・外食業での食品ロスの現状や、サステナブルに貢献する販促の在り方を長く飲食業界に携わってきたコークッキング代表の川越一磨氏に聞いた。
飲食店での食品ロスは当たり前
──2015年に「TABETE(タベテ)」を運営するコークッキングを設立しました。外食・中食の食品ロスに注目したきっかけを教えてください。
「TABETE」は、飲食店や惣菜店などで、閉店時間や賞味期限などの理由から余ってしまった商品を救うフードシェアリングサービスです。消費者(ユーザー)が、「TABETE」のウェブサイトやアプリ上でレスキュー対象の商品を検索し、購入する仕組みです。
このサービスを立ち上げたきっかけは、私自身の経験にあります。私は大学に通いながら、和食店の調理場でアルバイトをしていました。原体験になったのは、数十人規模の宴会でコース料理を提供したときのことです。
この宴会では、事前にお客さまから様々なご要望をいただいたため、料理人たちで知恵を出し合って普段は使わない食材を調達するなどして食事を用意しました。ところが、お客さまは名刺交換や会話に夢中で、料理には目もくれませんでした。お皿はほとんど手つかずの状態で調理場に戻ってきたのです。
このように、外食・中食業界では毎日一定量の食品ロスが出るのは当たり前です。私もはじめは心が痛かったのですが、いつしか廃棄も作業のひとつになってしまいました。こうした料理人としての体験の積み重なりや、「料理のつくり手の気持ちを考えることができない消費者が増えているのでは」という思いから、「TABETE」を開発しました。
TABETE


現在地からの店舗検索などで「レスキュー待ちの商品」を検索・購入し、店舗に受け取りに行く仕組み。「出品した理由」を詳細に書いている店舗ほど人気が高い。
閉店間際の店頭販促を再考する
──7月には国・自治体・市民団体などでつくる「ジャパンSDGsアクション推進協議会」でSDGs Peopleに選ばれましたね。SDGs推進を先導する立場として、現在の外食・中食業界における現状をどのように分析されていますか。
飲食業では...