2010年から発売しているキンレイ(京都市)の「お水がいらない」シリーズ。凍ったまま火にかけるだけで具付き麺ができる手軽さで大ヒットした。ヒットに至るまでの経緯を、商品企画チームマネジャーの福田暢雄氏に聞いた。
- シリーズ名:「お水がいらない」シリーズ
- 価格:330円(税込)
- 発売:2010年8月
- 累計販売数:約1億食(2020年3月時点)
- 主な販路:スーパー、ドラッグストア
DATA
覚えてもらえるネーミングに
──「お水がいらない」シリーズは、2020年3月に累計販売数が1億食を突破しました。2016年ごろから急速に伸びています。
シリーズとしては2010年から販売していますが、当初は100万食を売るのにも苦労しました。実は、2014年に企業理念を制定した際に、全社で議論を重ねる中で本シリーズの存続が危ぶまれたこともありました。当社のビジョンは「専門店を超える専門店になる」です。品質を追求しようとしているのに、「水がいらない」と簡便性を一番に訴求するのは間違っているのでは、との意見があったのです。
しかし、当社の営業担当が、店頭で「あの“水がいらないうどん”は売ってないのか」という声が多くあることをヒアリングしていました。そこで、“お水がいらない”というネーミングは重要だという結論に至りました。
LINE UP
ファンミーティングも開催
──その後、好調となった要因はどこにあると考えていますか。
社員・流通・メディア・消費者、それぞれ順番に、企業や商品のファンになってもらえるような仕掛けをつくってきたことが、功を奏したのかなと考えています。
まず、外部に発信する前に社内に浸透させることが重要です。2014年4月に社長に就任した和田博行の指揮のもと、部門横断の合宿やワークショップを通じて企業理念を制定し、全社員での価値共有を図りました。一人ひとりの社員が理念を実践していくことで、会社や商品への愛着も向上しました。
2014年秋冬商品からはブランド認知を高めるために「なべやき屋キンレイ」という新ブランドも立ち上げました。パッケージを刷新し、家庭用商品にはロゴも入れて、流通の方々にも認知いただけるように工夫しました。
これをきっかけに、メディアへのPRを強化しました。お水がいらないシリーズは...