本誌の読者の大半は、企業などの組織において複数人で一緒に働いていることだろう。誰かと一緒に働くこと、すなわち「協働」にもいろいろな種類があるのだと、かのカール・マルクスは述べている。マルクスは、『資本論』第一巻第四篇で資本主義社会における協働の在り方を分析する。
よく知られているように、マルクスが論じたのは「分業 division of labor」の功罪である。「分業」とは、資本がある程度の大きさに達したとき、生産性を向上するために仕事を細分化し、一人ひとりの労働者は全体のごく一部分のみを担うことである。典型例として、工場のライン工のような仕事を考えればよい。勤務中ひたすら特定の単純作業(たとえばネジを締める)にまで分割された仕事を、延々とこなすのだ …
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