商談時のメーカー営業からの提案に、どう"ツッコミ"をすればよいか。売り上げをさらに伸ばす仕入れのために、感情論ではなく、データに基づいた的確な質問の仕方を、フェズの井本悠樹氏が解説する。
上位SKUのフェイスを拡大することで店頭の「負」を解消
昨今、メーカー各社は、消費者ニーズや価値観の多様化に応えるべく、各ブランドにさまざまなラインナップを加えてきた。商談では「ライフスタイルの変化」など、正しそうな社会的背景を武器に、バージョン追加を提案するストーリーが語られるものだから、思わずそのまま受け入れてしまっているバイヤーも多いのではないか。
結果として1店舗あたり配荷されるSKU数も増加し、「在庫金額の増加」や、SKUあたりフェイス数の減少に起因した「店頭欠品の発生」などの「負」も表出してきているのではないだろうか。
確かにニーズは多様化している。ただ結論を申し上げると、残念ながらラインナップ追加が必ずしも効率的に売り上げや利益を伸ばすうえでの最適解ではない。むしろ、SKU効率の高い、上位SKUのフェイスを拡大することにより、店頭の「負」の解消を目指すべきであろう。
いわゆる「ニッパチの法則」(パレートの法則)をご存知だろう。さまざまな場面で使用されるが、小売りの現場ではよく「20%のSKUが80%の売上を作る」と説かれる。
実際にグラフ1にあるように、バージョン数を増加していくとバージョンあたりの売上は逓減し、いわゆるSKU効率は悪くなる。人間の心理としては、SKU効率が悪かったとしても売れてはいるわけだから、「カットするのはちょっと」と躊躇するのではないだろうか。しかし、実はこれは誤りである …