顧客との価値共創の最前線 顧客エンゲージメントの構築を目指して
リピート来店してくれる、店舗の魅力を第三者に発信してくれる…。どうすればロイヤルティの高い顧客を育成できるのか。消費段階にまで目を向けた「顧客エンゲージメント」の概念から、その施策の方向性を明治大学の井上崇通氏が考察する。
「また行きたくなる」店舗施策とアイデア
ことし2月にオープンした「ライフ桜新町店」は、これからのライフブランドを定義する旗艦店だ。来店を促すためのさまざまな店舗の工夫について、同社に話を聞いた。
売り場面積の広さを生かし、地域のニーズに対応する商品・品揃えを実現。買い物が楽しくなるような売り場づくりや、中2階に設けたレストスペース・キッズスペースなど、顧客視点で考えられたサービスも充実している。
中2階にあるレストスペースとキッズスペース。無料のWi-Fiやスマートフォンなどを充電するための電源を備える。キッズスペースにあるすべり台は、店長の強い要望で設置した。
ライフコーポレーションは2019年2月6日、「ライフ桜新町店」(東京・世田谷)をオープンした。売り場面積は約1085坪(約3590平方メートル)で、約3万3000SKU(在庫管理単位)を扱う。
「桜新町は、感度の高いお客さまの来店が見込まれ、幅広いニーズが存在するエリアです。好立地ながら、広いスペースを確保できました。『桜新町店』は、さまざまな取り組みにチャレンジできる条件が整っていることから、旗艦店として位置づけています」(ライフコーポレーション広報部 小川啓氏)
中2階にはレストスペース(休憩所)や大型のキッズスペースがある。
レストスペースの目的のひとつは、料理教室などのイベントを開催し、買い物にプラスアルファの価値を提供すること。
他方、キッズスペースには、ジェスチャーで操作できるサイネージがある。画面の前に立ち、自分の体をコントローラーとして動かすと、コンテンツを操作できるようになっている。
両スペースは、来店客にとって「桜新町店」の象徴的な存在で、「再来店のきっかけにつながっている」と小川氏は話す。
1階は生鮮品や食料品売り場。2階は日用品や生活用品、衣料品売り場。地下1階は駐車場だ。
「他店との差別化にはライフにしかない魅力的な商品を開発したり、品揃えを広げていくことも重要です。しかし、それだけではEコマースとの違いが出しづらい。ご来店いただいたお客さまに楽しさを提供したり、安らぎや憩いの場を提供するのは、実店舗ならではの施策です」(小川氏) …