
デイヴィッド・ルイス(1941-2001)は、二十世紀終盤のアメリカで「分析哲学」を牽引した代表的な哲学者。写真(=123RF)は教鞭を執ったプリンストン大学。
前回、マーケティングが解明を目指すものはじつは「因果」ではないという議論をおこなった。哲学者が言うように、「因果」は世界に成立する関係性ではなく、私たちの頭のなかや言葉づかいによって想定されるものなのかもしれない。そして、マーケッターが取り扱うのは、せいぜい「相関」であって「因果」ではないかもしれない。
ところで、哲学者は皆こぞって因果を否定、消去しようとするわけではない。むしろ、日常的な因果観を擁護する理論を提示しようとする者が大多数である(えてして極端な意見は目立つものだ)。
私たちの因果観を説明するうえで、有望な理論のひとつが「反事実条件的因果」説である。文法でおなじみだが、「反事実条件」とは事実に反する仮定を指す …
あと65%