販売促進の専門メディア

           

THROUGH BOUNDARIES

MMM分析とバートランド・ラッセル

朱 喜哲(哲学者/プランナー)

バートランド・ラッセル(1872-1970)は、日本ではノーベル賞を受賞した平和運動家としての顔のほうが知られているが、因果の哲学をはじめとした「科学哲学」において、今なお検討される一線級の哲学者である。
写真:Fotograaf Onbekend, National Archives of the Netherlands/Anefo

「マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)」という分析手法がある。売上のような「目的変数」を設定し、それを多くの「説明変数」(たとえば各種の広告費など)から説明する数理モデルをつくる。どの変数に介入すれば、売上を伸ばせるのか。売上という「結果」の「原因」を探る。つまり因果法則を見出そうというのだ。

MMM分析で作られるモデルは、y=a1・x1+a2・x2+…+an・xnといった関数の形をとる。一見して明らかなように、目的変数と説明変数群のあいだは等号(=)で結ばれている …

あと67%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

THROUGH BOUNDARIES の記事一覧

情報や人とのつながりを手放す
MMM分析とバートランド・ラッセル(この記事です)
適切なプロセスによって初めてわかること
「因果」の哲学
誰かの考え方に心酔したり、否定したくなったときは
「因果」と「理由」のマーケティング
魔境あるいは万能と劣等の心的複合体
「因果」に魅入られたマーケティング
「同意」が王座に就く時代
禅の考える「利益を得る」方法
答えのない問いへの答えはどこからやってくるか
行動データの光と影──「通知と同意」をめぐって
販促会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する