2018年10月24日、東京は両国国技館において、Tリーグがその歴史の幕を開けた。近年、国際大会での活躍も目立つ日本選手を中心に、国内外のトップ選手が参加し、世界No.1の卓球リーグとなることと、観客にライブエンターテインメントを提供することを目指している。ことし8月29日、2シーズンめの開幕を迎えたTリーグの取り組みを聞いた。
開幕シーズンは全86試合で10万9788人の観客が来場
卓球のプロリーグ「ノジマTリーグ」は2018年10月24日、両国国技館(東京・墨田)にて開幕した。初日の24日は、男子「T.T彩たま」と「木下マイスター東京(KM東京)」の試合が行われ、5624人が観戦した。翌25日は女子の「トップおとめピンポンズ名古屋」と「日本生命レッドエルフ(日本生命)」が対戦、4572人の観客を集めた。
ことし3月17日には同じく両国国技館で男女ともにリーグ戦の上位2チームが対戦するファイナル(決勝戦)を開催。男子は「KM東京」と「岡山リベッツ」、女子は「木下アビエル神奈川」と「日本生命」が対戦。男子は「KM東京」、女子は「日本生命」が初代王者となった。この日、男子5120人、女子5035人の卓球ファンが集まった。
Tリーグチェアマンを務める松下浩二氏は、立ち上げのシーズンについて、「レギュラーシーズン84試合と男女ファイナル2試合の合計86試合で、のべ10万9788人の方に会場へ足を運んでいただきました。最も良かったのは、シーズンを通じて観客、選手ともにケガなく無事に終えられたことです」と振り返る。
松下氏は、日本卓球界で初のプロ卓球選手で、さらにはドイツやフランスといった海外リーグでプレーした最初の日本人選手でもある。つまり、日本卓球界のパイオニア的存在だ。Tリーグでも、松下氏の国内外での経験・知見が反映されている。
Tリーグでは、シングルス3マッチ、ダブルス1マッチの計4マッチでチーム対抗戦を行う。4マッチの結果が2対2となった場合には、延長戦「ビクトリーマッチ」を実施。「ビクトリーマッチ」は、通常の11点先取の3ゲームマッチでなく、1ゲーム勝負となる。この試合方式は中国のスーパーリーグが一時期採用していたものを参考にした。
Tリーグを含めた卓球界の全体的な構想ではドイツに範を取った。同国では、ブンデスリーガ1部、2部を頂点とした大きなピラミッド型で卓球界を構成している。それをモデルに、Tリーグでもプロ、アマ、年齢を問わず競技レベルでピラミッド型にすることを目指している。
「日本は卓球界に限らず、スポーツは中学生、高校生、大学、社会人でカテゴリーが分かれることがほとんどです。そして、野球で高校生とプロが試合をしないように、カテゴリー間の交流がほとんどありません。卓球界は、競技者が自分の競技レベルに合わせた場所でプレーできるようにしたい。張本智和選手(KM東京、16歳)と張本美和選手(木下アビエル神奈川、11歳)兄妹のように、強ければ、より高いカテゴリーでプレーできる構造を実現したいのです」(松下氏)
卓球界をピラミッド構造へ変えていくために、Tリーグは数年かけてチーム数を増やし、2部、3部を創出する計画だ。現在の加盟チームには3年以内に6歳以下を受け入れる育成機関の開設を求めており、リーグの体制強化と競技人口の増加、競技環境の充実を図ろうとしている。
現在すでに、各チームに世界ランキングトップ10に入る選手が所属していることを課している。これは理念とする「世界No.1の卓球リーグ」体現のためだ。
760万人の卓球愛好層を試合会場に集める
開幕シーズンの来場者数は10万9788人、1試合平均は約1280人だった。目標としていた平均2000人には届かなかったものの、東京や横浜などでは満員になる試合もあった …