昭和の時代、デパートは夢の空間だった。日曜日ともなれば一家で出かけ、子どもたちはエレベーターやエスカレーターにときめき、おもちゃ売り場に歓喜した。昼食は最上階の大食堂。和洋中からお子さまランチまで家族の好きなメニューが全て揃った。屋上には小さな遊園地があり、他愛のない遊具に夢中になった。
今、思い返すと、何か特別な品物を求めていくというより、あのワクワクする空気感に包まれたくて、デパートに出かけていた気がする。
翻って現代は、デパート受難の時代である。全国の百貨店市場は長期低落傾向にあり、今や売上高は最盛期の3分の2ほど。総合的な品揃えを誇る"百貨店"のビジネスモデル自体が問われている …
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