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THE CITY BEYOND CITIES

急速に進む高齢化 英国の老齢医療と介護

小西純子

英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。

英国でも人口増と高齢化によって既存の社会システムが危機を迎える中、新しい形の福祉政策が模索されている。

先般、「老後資金は2000万円必要」とする報告書のニュースが話題となった。超高齢化社会へ向かう日本では、若い世代も老後への関心を一層高めている。実は英国でも、ミレニアル世代と呼ばれる若者たちが抱える将来不安について取りざたされる。ここ最近、頻繁に目にする話題は、老齢医療と介護だ。

英国人はリタイアしても可能な限り自宅に住む。しかし、自活が難しくなると家を売った上で政府からの補助金を足し、日本で言う高齢者施設である「ケアホーム」に、要介護の度合いが進めば介護士が常駐する「ナーシングホーム」に移る。

最近ではこうした施設のバリエーションが広がっている。日本でも普及しつつあるが、保育園とケアホームが同じ敷地内にあり、双方が交流しやすい幼老複合施設は英国にもある。また近年では「リタイアメントヴィレッジ」がポピュラーになりつつある。マンションのブロックが丸ごと施設になっていて、ハウスキーピングや介護ケアサービスがあり、入居者専用の娯楽やスポーツ施設、そして食堂、バーなどを併設している。それぞれの部屋は一般住居と同じく、自由に住人が出入りできる。

そして多民族が住む英国らしく、アジア言語を話す介護士が運営するホームやユダヤ人専用の施設などもある。見守られる安心感と便利さを備えつつも、いわゆる老人ホームにはない自由さがあり、ほどよい近所づきあいもできる。

英語には"Aging in Place"という言葉がある。日本語では地域居住と訳され、個人ができるだけ住み慣れた場所で命を全うすることを指す。「リタイアメントヴィレッジ」は、この考えへの一つの答えということになるだろう …

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