ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。
通行量は6倍に 「路線価」も上昇へ
熱海はかつて、たくさんの観光客で賑わいをみせた国内屈指の温泉街だ。しかし、利用客のニーズの変化などとともに、訪れる人が減少傾向にあった。「さびれた温泉街」というイメージを持つ人も少なくない。しかし近年、若者を中心に観光客が戻りつつある。
machimori(マチモリ、熱海市銀座町)は、利用客の呼び込みに力を入れる企業のひとつだ。2011年設立の同社は特に、市街地にある昔からの商店街「熱海銀座」の活性化に力を入れている。「熱海銀座」では、飲食店が入るシェアテナント「RoCA(ロカ)」、ゲストハウス「MARUYA(マルヤ)」、コワーキングスペース「naedoco(ナエドコ)」を運営している。
「私たちが事業を始めたころは、熱海銀座の1日あたりの通行量は500人ほどでした。それがことし3月の調査では3000人近くまで増えました。また、かつてあった10軒の空き店舗は、いまは2軒に減りました。こうした変化は商店街の方々の努力によるものです。当社事業も貢献できていればうれしいですね」(machimori執行役員 下田国久氏)
新たに熱海の街を訪れるようになった観光客のメインは、20歳代や30歳代の若者たちだ。春や夏の大学が長期休暇のシーズンには学生の姿も多く、夏には若いファミリー層も増えたという。
「往時の賑わいを知る中高年にとって、熱海はさびれた温泉街というイメージが強いかもしれませんが、昔とその後の落ち込みを知らない若い人たちにとっては、昭和レトロな熱海の街並みは新鮮に感じるみたいです。フォトジェニックな撮影ポイントもあり、素直な気持ちで熱海の街を楽しむ人が多いようです」
使われていない物件を賃借 リノベーションして転貸
シェアテナント「RoCA」は、machimoriが物件をオーナーから賃借して室内をリノベーションした上で、店舗を構えたい事業者に転貸して運営している …