販売・接客の現場で活躍する、35歳以下のキーパーソンに迫る本企画。──だが、今回はルールを曲げて「特別編」。2018年1月に「接客日本一」の称号を手にした「SHIPS 銀座店」の副店長、椛澤翔さん(37)に話を聞いた。
「最初は苦手だった」「接客日本一」までの道のり
2018年1月に開催された「第23回SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会」(主催=日本ショッピングセンター協会)で、「大賞(第1位)及び経済産業大臣賞」を獲得した販売員が、セレクトショップ「SHIPS」の銀座店にいる。
椛澤翔さん、37歳。同店の副店長兼販売管理部に所属し、店頭に立ちながら後輩の育成に尽力している。
年に1回開催される「SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会」は、日本全国のショッピングセンター(SC)ごとのコンテストを経て、支部大会を勝ち抜いた人のみが参加できる大会だ。支部大会の時点で約1000人が参加し、のべ参加者数は、数万人に上るという。
その中で、2017年度の「SC接客日本一」の称号を受けた椛澤さんが、本格的にコンテストでの優勝を目指し始めたのは2016年からだった。元々は「物販が苦手だった」と椛澤さんは話す。
椛澤さんは福島県出身。美容院を営む父親のもと、高校卒業後は上京し、自然と美容の専門学校に進んだ。その後は銀座で美容師のアシスタントを務めたのち、ジーンズを取り扱うアパレル店で働いた。
販売が好きで、美容の道から販売の道へ移ったかと思いきや、「美容院でシャンプーやヘアケア用品をお客さまにお勧めする『物販』がとにかく苦手で。美容師を辞め、いくつか派遣などの仕事もするなかで偶然始めたのが、ジーンズを扱うアパレルブランドでのアルバイトでした。そのころは、自分が販売の道に進むなんて思いもしませんでした」と、当時を振り返る。
顧客とのコミュニケーションも、最初はうまくいかなかった。
「美容院ではお客さまと接する時間が長いので、じっくりお話しできたのですが、アパレル業界では限られた時間でコミュニケーションを取り、売り上げに結び付ける必要があります。そうなった時に、お客さまとの会話が続かなかったんです。それがくやしくて、少しずつ勉強するようになったのが、接客に興味を持ったきっかけです」
当時働いていた店舗では空き時間も多かったため、接客のロールプレイングを重ねた。「その経験が、自分の販売員としての原点かもしれません」と椛澤さんは話す。その後、同店では店長やバイヤー、マーチャンダイザーなどを担当 …