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THROUGH BOUNDARIES

「因果」と「理由」のマーケティング

朱 喜哲(哲学者/プランナー)

「使えるか否か」はわかっても、「なぜ使えるか」を説明するのはとても困難だ

(写真=123RF)

前回、ナッジを例として「因果」について論じた。なぜそうなっているのか、当事者にとって意識されてさえいないような介入によって、人の行動が変化する例である。

因果の解明はマーケティングの究極目標のひとつだろう。マーケターが「どうやったら消費者は買ってくれるのか」と問うとき、それは理由を問うているのではなく、「どの施策を、どのように実施すれば、売上は伸びるのか」という因果的なメカニズムを問うている。

アナリストは一般に、多くの広告施策や環境要因を数値化した説明変数によって、目的変数である売上を説明する数理モデルを組む。それは、施策の種類と規模をどのように変えると売上が伸びると考えられるのか、つまり、因果的介入の方針を決めるためである。

重要なのは …

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