配布員が住宅一軒一軒のポストにチラシを入れて回り、情報を届ける「ポスティング」が、改めて有効なマーケティング手法として注目されている。これまで地域の住民に情報を届ける手法では新聞折込チラシが主流だったが、その状況が変化し始めているのだ。
いま、再び注目を集めるポスティング
──『なぜいまポスティングか』を出版した理由は?
近年の新聞離れによって、新聞折込チラシを見る住民の数が減少しました。特に20歳代~30歳代には、「新聞折込で地域の情報を知る」という習慣がまったくないという人も少なくありません。チラシを出稿する企業にとっては、以前ほどの広告効果が望めない状況になってしまったと言えます。
その点ポスティングは、基本的にはエリア内のほぼすべての家にチラシを届けられます。新聞購読世帯の減少や、住民のライフスタイルの変化に左右されず情報をお届けできる、「地域メディアとしてのポスティングの強み」を伝えることが、本書を出版した最大の理由です。
実際、ポスティングの需要は年々増えており、日本ポスティング協同組合の会員社は、20年前の結成時よりも50社以上増えています。一方、配布率を偽るなどの悪質な業者も少なくなく、書籍の中では、そうした悪質業者への対処法も紹介しています。
──改めて、ポスティングの強みとは何でしょうか?
本書で提唱している仮説は、「ポスティングは日本人の購買行動に向いている」ということです。
一般的に日本人は、商品を購入する際、ごく一部の富裕層やこだわりを持つ人たちを除いて「これが買いたい!」という明確な目的意識を持って商品を買っているのではないでしょうか。
情報を得る経路が、新聞やテレビからSNSに代わっても、日常の生活の中で偶然キャッチした「この商品、よさそう」「この食べ物おいしそう」という情報から購入する商品を選ぶという行動パターンは変わっていません。
言ってみれば、あるシチュエーションにおいて、食べたり使ったりするのに「ちょうどいい」という消費者の心理をとらえられるかどうかが、購買行動を左右するのです。
その代表的な例が、宅配のお料理です。宅配サービスの飲食業界はポスティングを利用するお得意さまの一つですが、正直に言って、「きょうはあれを食べよう」と、あらかじめ決めている方はそれほど多くないのではないかと思うのです。
むしろ、たまたまポスティングされた宅配ピザのチラシを見て、「たまには家族でピザを食べよう」とか、「あした友人が家に集まるので寿司を頼もう」など、あるシチュエーションにおいて、「宅配ピザがちょうどいい」と感じて注文するケースが多いはずです。
宅配ピザの企業は、こうした「ちょうどいい」の心理による注文が少なくないことが経験的にわかっているからこそ、ポスティングを継続しているのではないでしょうか。
ポスティングは、こうした消費者の「ちょうどいい」という心理から起こる購買行動にとても向いているのです。
また、"モノ"として残ることもチラシの強み。内容が気になるチラシを、「あとで読んでみよう」と手元に残しておくことはよくありますよね。クーポンなどの特典が付いていれば、手元に残してもらえる期待はさらに高まります。
SNSをはじめとするWebメディアでは、情報はあっという間に流れていってしまいます。だからこそ、"モノ"として残るチラシの特性が、大きな役割を果たすのです。
お問い合わせ
株式会社アドワールド
〒542-0066 大阪府大阪市中央区瓦屋町3-7-3
TEL:06-7739-7026
URL:https://adworld.co.jp
E-Mail:ad-honbu@adworld-24.com