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顧客と成長する北米ブランド

加速するD to Cブランドの実店舗出店 ニューヨークの最新事例から

橘 匠実氏(パナソニックノースアメリカ)

Eコマースを活用して、店舗などにかかる費用を抑えて販売するモデルD to C。そんなD to Cブランドが近年、実店舗をもったり、ポップアップストアを開催したりと、チャネル拡大してきているようだ。

この記事は、ニュースサイト『AdverTimes.』の「新時代の店舗が担う3つの役割 ニューヨーク最新事例から」を再構成したものです。

COUNTRY U.S.A.
D to C TREND REPORT

実店舗に進出するD to C ニューヨーク発の企業を紹介

ファッションやデザイン関係者にとって、世界を代表する都市であるニューヨーク。中でもSOHO(ソーホー)は、グローバルに展開する有名ブティックが立ち並ぶ、人気のエリアです。

その反面、ソーホーは多くのスタートアップが店舗を構える実験地区としての顔もあります。たとえばマットレスのCasper(キャスパー)、スーツケースのAway(アウェイ)、化粧品のGlossier(グロッシエー)など。これらは、普段インターネットを通じて商品を販売している企業です。

いま挙げた3つのブランドのビジネス形態は、ひとくくりでD to C(ダイレクト・トゥ・コンシューマ)と呼ばれています。製造から小売までを1社が提供し、さらに販売は、Eコマースを活用することで、店舗にかかる固定費や、流通にかかる費用を抑えるようなビジネスモデルです。

ソーホーの1LDKのマンションの平均家賃が月約42万円。港区の相場の2倍以上にも及びます。ではインターネットで商品を販売し、店舗を持たなくても売れているブランドが、なぜそのように世界でもトップクラスに高い賃料を払って、わざわざ店舗をだしているのでしょうか?

元々Eコマースを通じて商品を販売していたD to C企業が、リアルの場にチャネルを拡大している事例とともに紹介します。

ブランドの世界観を伝え体験してもらう

まずひとつめの理由として挙げたいのは、「ブランドの世界観を伝え、体験してもらうため」です。

マットレスブランド「Casper(キャスパー)」は2018年7月、仮眠室で実際に「眠る」ことができるショールームをニューヨークにオープンしました。言われてみれば、マットレスの良し悪しを知るには、やはり眠るのが一番……とわかっていても、実施に踏み切れるブランドはなかなか存在しませんから、これはユニークな取り組みだと言えるのではないでしょうか。

仮眠サービスはネットで予約できます。ショールームに訪れてパジャマを受け取り、顔を洗ってから、同社の特製マットレスで45分間睡眠するまでがパッケージ。約2750円(25ドル)で体験できます。

これに並行して、キャスパーは18年7月13日から8月26日にかけ、米国に9店舗を構える百貨店ノードストロームでポップアップストア「Sleep-In@Nordstrom」を開催しました。ノードストロームは2013年から、店内にポップアップストア用のスペース「Pop-In@nordstrom」を設けています。キャスパーもパートナーとして、同スペースでブランド体験ができる企画を実施しました。

さらにキャスパーは2018年8月、2021年までの3年間で200店舗をオープンする計画を発表。キャスパーの最初の常設店の出店が、18年2月ということを踏まえると、そのスピード感がよくわかるかと思います。一方、アマゾンやターゲット、ノードストロームといった既存の販路は維持する方針です。

このように、ブランド開始時は自社ECサイトでのみマットレスを販売していたキャスパーは、小売りや実店舗、他社ECサイトなど、マルチチャネルでの商品販売に本格的に取り組み始めているのです …

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