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顧客と成長する北米ブランド

本格ラーメンのミールキットをD to Cで販売 Ramen Heroの勝算

長谷川 浩之氏

Ramen Hero(ラーメン・ヒーロー)は、米国で本格的なラーメンを製造し、Eコマースで販売する企業。D to Cが浸透する米国で、ラーメンのどこに、どのようにして、勝機を見出したのか。

COUNTRY U.S.A.
COMPANY NAME Ramen Hero

    What’s Ramen Hero?

    「米国で本格ラーメンを自宅で食べられるようにする」をミッションとし、ラーメンのミールキットを米国で製造・販売。2018年創業。

米国ラーメン業界の救世主?ラーメン・ヒーローとは

ラ―メン・ヒーローはラーメンのミールキットを製造・販売する企業だ。2014年に渡米した長谷川浩之氏が18年にサンフランシスコで起業した。ミールキットとは、調理に必要な材料をセットにしたもの。同年度の合計売上高は約10万ドル。注文数は1900件以上にのぼる。

長谷川氏は2019年3月、全米ナンバーワン(1)とされるアクセラレーター(2)「エンジェル・パッド」のプログラムを日本人で初めて修了。米国においても今後の成長が期待されている企業だと言えるだろう。

1 マサチューセッツ工科大学、ブラウン大学、リッチモンド大学が毎年全米160のシードアクセラレーターから最も良いプログラムを提供している企業を選ぶ「The Seed Accelerator Rankings Project」において、Angel Padは2015年からトップを維持する。

2 ベンチャーキャピタルの一種。起業家や創業直後の企業に対し、事業を成長させるための投資をする組織をさす。

主にEコマースで販売し、「Classic Miso Ramen」(16ドル、約1760円)など、常時15SKUほどを用意。拠点とするサンフランシスコがあるカリフォルニア州のほか、オレゴン州、ワシントン州など、米国内計8州への発送に対応している。

現在米国のラーメン市場規模は50億ドル(約5000億円)ほどで、毎年15%~20%伸びている成長市場だ。長谷川氏は、同市場には次のような特徴があるという。

「まず、米国は国土が広いため、日本と比べて食料品店やレストランにアクセスしづらい点が挙げられます。次に、多忙を極める現代人のライフスタイルにおいて、買い物の時間を省きおいしいものを提供する食品のEコマースは、今後成長が予測されること。最後に、メディアの発達によってグルメ情報には容易にアクセスできるようになりましたが、実際の食べ物へのアクセスは実店舗の出店を待たねばならず、そこにギャップが発生していることです」

ラ―メン・ヒーローは、こうした市場課題をふまえ、Eコマースを利用し、出店を待たなくてもいますぐに本格ラーメンを食べられるサービスを提供している。

気になるのはやはり、米国でラーメンがどの程度ウケるのか、ということだろう。サービスを始めるにあたって長谷川氏は、「事業のコンセプトであった『米国で本格ラーメンを自宅で食べられるようにする』ことが、本当に必要とされているのか、証明するのに労力を費やしました」と話す。

「幼いころからラーメンが大好きでした。しかし渡米し、米国には質の高いラーメン店が極端に少ない上、数少ないおいしい店舗はアクセスが悪かったり、数時間待ちの行列ができていたりする状態に気づきました。そうした課題を解決する、ラーメン・ヒーローの事業アイデアが浮かんだのですが、その時点ではラーメン作りにおいて全くの素人。まずは自分でラーメンを作れるようになる必要がありました」(長谷川氏)

そこで一度日本へ帰国し、香川県にあるラーメンの専門学校を卒業。その後米国に戻り、ケータリングやイベントなどで実際にラーメンを振る舞い、米国人の好みを把握した。

転機となったのは、米国のクラウドファンディングサービス「KickStarter」で実施した「米国初の本格ラーメンミールキット」を販売するキャンペーン。2日以内に目標金額を達成した。長谷川氏は「見ず知らずの多くの米国人が注文しているのをみて、ようやくニーズを確認できた」と話す …

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