
つい、こないだまで東京オリンピック・パラリンピックへの世間の関心はあまり高くなかったが、チケット販売が始まると殺到。何事も「始める」ことが肝要である。
イラスト:高田真弓
日本人は何か火がつくまではシン、としていることが多い。あれこれ仕掛ける側は「われ笛を吹けども汝ら踊らず」とやきもきする。
先の改元のお祭り騒ぎもそうだった。昨年暮れからメディアはしきりに平成の振り返り企画で煽るも、世間の反応はいま一つ。新元号も「もう少し早い発表を」「廃止して西暦に」と批判的なコメントが目立つくらいで、期待めいた言葉はあまり聞こえてこなかった。
ところが──先の4月1日に官房長官が新元号「令和」を発表すると、事態は一変する。出典とされる「万葉集」が突如スポットライトを浴びて、関連書籍が売り切れたり、新元号ゆかりの地の福岡県・大宰府に観光客が殺到したり、果ては明治の乳酸菌飲料「R-1」が"令和元年"に見えると脚光を浴び、「平成」最後の「昭和」の日に、JR「大正」駅で「明治」のR-1(令和)を飲む行為はSNSで一大ムーブメントとなった。
そう、かように日本人はコトが始まらないと、なかなか盛り上がらないもの。2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」にも同じ匂いを感じる …
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