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経営トップ 販促発想の着眼点

おいしさは「味」のみで決まらない 体験が商品にフレッシュさをもたらす

岩下食品

ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

岩下食品 代表取締役社長 岩下和了氏
1966年、栃木市生まれ。慶應義塾大卒。住友銀行を経て93年同社入社、2004年から現職。しょうが漬け、らっきょう漬けで日本一のシェアを持つ。2015年6月「岩下の新生姜ミュージアム」を開館(館長)。趣味は音楽鑑賞とTwitter(苦笑)。

売り上げ上昇に転じたきっかけは2011年に始めたTwitter

漬け物市場全体の売上高が減少する中、岩下食品の生姜を酢漬けにした「岩下の新生姜」の売り上げが、ここ3年間連続で2ケタ増の伸びを見せている。

「岩下の新生姜」は1987年に販売を始めた。1992年~2002年ごろまで、関東圏を中心にテレビCMをオンエアし、漬け物商品の中では、いまでも高い知名度を誇る。

しかし、その半面、消費者の漬け物に抱くイメージや食生活の変化などに伴い、2000年をピークとして売り上げが減少に転じた。新生姜を用いたメニューを開発したり、パッケージデザインを変えたりするなど、売り上げの回復策を講じるも、効果は芳しくなかった。

それが2014年、売り上げの減少は底を打ち、上昇に転じて現在に至っている。どのような転機があったのか。岩下食品の岩下和了社長はこう話す。

「Twitterでお客さまの声をダイレクトに聞くようにしたことが、転機となりました」

岩下社長は2010年にTwitterに公式アカウントを開設。翌11年から本格的に情報収集を始めた。「お客様相談室」は岩下食品にもあり、購入者からの声は届いていたが、Twitterでは別の世界が広がっていた。

「Twitterで『新生姜』を検索してみると、それまでは当社から特に何も発信していなかったにもかかわらず、毎日数件から20件ほど『新生姜を食べた』『おいしい』といった声があがっていました。お客様相談室では商品について、おほめいただくケースはひと月に1件あるかないかという割合ですが、Twitterでは毎日大量に、商品に対するポジティブなコメントを見つけられたのが新鮮でした」

岩下の新生姜
やさしい辛さ、シャキシャキッとした歯ぎれの良さ、さっぱりとした味わいが特徴の生姜の酢漬。テレビCMをオンエアしていたため、漬け物の中では圧倒的な知名度を誇る。

コラボ企画で露出度アップ 2015年にミュージアムもオープン

Twitterを続けていると、漬け物業界以外の企業の経営者やマーケティング担当者らと、コラボレーション企画が話題に上がることも増えていった。

「いわゆる水面下ではなく、見ようと思えば誰でも見られるオープンな場で、コラボ企画の話を進めたこともあり、多くの企画がとても早く進みました。コラボ企画が増えれば、それだけ商品の露出が増えるという側面もあります。コラボにあたっては、ブランド使用料などは不要とし、悪用でない限り、基本的に"フリー素材"として活用できるという姿勢で対応していますので、コラボ相手とすれば、組みやすいという面もあったと思います …

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