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令和元年 新しい日本のプロモーション

相次ぐスポンサード、事業参入 eスポーツに着目すべき理由

但木一真氏

2018年の流行語のひとつに選ばれた「eスポーツ」。ゲームプレーヤーのコミュニティから事業、さらには業界へと進化をとげようとしている。世界でも同様に急拡大が進んでおり、日本でも市場形成が有望視される。eスポーツ業界のアナリストである但木一真氏が解説する。

    1972
    始まりはスタンフォード大学?

    1972年10月19日、スタンフォード大学でeスポーツの大会が開催されたという記録がある。

2019→
世界中で市場を広げるeスポーツ 日本での起爆剤は東京五輪

「eスポーツ」という単語がここ1年ほどで一般メディアの見出しを飾るようになった。いまや世界中のファンが熱狂する巨大市場を形成しており、市場調査会社ニューズー(Newzoo)は、2018年から2019年にかけて世界のeスポーツ市場が26.7%成長し、11億ドル(約1232億円)に達すると試算している。日本ではどうかというと、ゲーム雑誌『ファミ通』を発行するGzブレインは、2018年の国内eスポーツ市場規模を約48億円、4年後の2022年には100億円と推計する。

市場拡大の起爆剤となるのは、2020年東京オリンピック・パラリンピックだ。2016年のリオ五輪の閉会式で安倍晋三首相が任天堂のゲーム『スーパーマリオ』のキャラクターに扮したことからもわかるとおり、東京五輪でも世界中にファンを抱える日本のゲームコンテンツが活用されることが予想される。ゲームを用いた競技であるeスポーツも大きく取り上げられるだろう。

いま述べたとおり、「eスポーツ」とは、パソコンゲーム、家庭用ゲーム、モバイルゲームといったデジタルゲームを用いた競技を指す。将棋や囲碁のように、プレイヤーらによる試合が興行化されており、会場やインターネットで試合観戦を楽しめる。

競技として採用されるゲームはさまざまだ。人気を集めるのは、プレイヤーがキャラクターを操作し、敵チームの本拠地を破壊する、というルールを基本とした「マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ」や、銃器などのアイテムを用いて敵対するキャラクター=相手プレイヤーを打倒する「シューティング」といったジャンル。日本国内でも50近くのeスポーツ競技タイトルが存在する(eスポーツの定義によって、数は大きく変動する)。

2019→
若者層を狙う企業が食指を伸ばすスポンサーシップ3つの手法

eスポーツが注目される理由の中でも大きなものに「プレイヤーや視聴者の若さ」がある。日本のeスポーツファンの推計は383万人。20歳代の割合が最も多く、約28%を占める。前述の「シューティング」ジャンルでは、ファンの年齢層がさらに若くなる。

多くの企業がeスポーツに期待を寄せるのも、これが理由だ。eスポーツ関連コンテンツへのスポンサーシップは、テレビをはじめとする、旧来メディアが届きづらい若年層へアピールするチャンスとなる。

逆に言えば、テレビもeスポーツを扱えば、若年層に見てもらえる、という思惑はあるのだろう。2018年以降、国内キー局は一斉にeスポーツ関連番組をスタートした。日本テレビの『eGG』、テレビ東京の『有吉ぃぃeeeee!』などがそれだ。

eスポーツ関連コンテンツへのスポンサーシップの種類には、①メディアへのスポンサード ②大会へのスポンサード ③チーム・選手へのスポンサードが挙げられる。

メディアへのスポンサードは、前述のテレビ番組のほか、Webでもeスポーツを専門に扱うメディアが続々と立ち上がり、関連するニュースを日夜配信している。これらへのスポンサード(広告出稿)が最も簡単なやり方だろう。

大会へのスポンサーシップも盛んだ。トヨタ自動車はミクシィが運営する『モンスターストライク』の大会賞品として、新車1台を提供した。日清食品は格闘ゲームの大会「EVO」や、サイバーエージェントグループによる大会「RAGE」のスポンサーを務めるなど、eスポーツへの進出に積極的である。ほかにもコカ・コーラ、NTTドコモ、ロート製薬といった、名だたる大企業が大会に協賛している …

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